3.「輸送の安全」の維持・向上のために

◆「輸送の安全」を推進する社内の体制

鉄道事業法に基づき、安全管理体制を確立し、輸送の安全水準の維持および向上を図ることを目的として、安全管理規程を制定しています。

同規程では、鉄道事業における輸送の安全を確保するため、「安全方針」・「安全行動規範」をはじめ、社長が選任した安全統括管理者のもと、安全を推進し管理する社内の体制や各部門の責任者の役割・権限などを定めています。

◆「輸送の安全」への取組みの確実な実施に向けて

「輸送の安全」に関する会議

輸送の安全の確保に向けて、以下の会議を通じて、経営トップから現業までが一体となって安全管理体制の見直し・改善を推進しています。これらの会議では安全に関する様々な取組みを審議し、安全施策の確実な実施と自律的・継続的な改善(スパイラルアップ)を図っています。

安全の日

「鉄道における事故を未然に防ぐ方法」についての講演

全社をあげて「鉄道の安全」の取組みについて再確認し、役員から社員まで一人ひとりが、安全を最優先する意識の高揚を図るため、毎年8月1日を「安全の日」と定めています。

2017年度は、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻教授 中尾政之氏より「鉄道における事故を未然に防ぐ方法について〜ミスをしない人の思考法・気づき方〜」についてご講演いただくとともに、各職場より日頃行っている安全に関する取組みについて発表を行いました。

東武グループ交通事業者安全推進連絡会

グループ各社との意見交換会

2017年11月14日に、第7回東武グループ交通事業者安全推進連絡会を開催しました。これは安全に関する取組みを東武グループ内で情報共有することにより、各社の安全管理体制の充実を図ることを目的として2011年度から開催しているものです。

2017年度は、CIMA人財教育開発代表 島本長範氏による「労働災害防止のマネジメント~経営TOPの意識と実践~」をテーマにした講演会ならびにグループ各社との間で地域と協力した取組みおよび新入社員の安全教育と技術継承に関する意見交換を行いました。

安全巡回

現業職場における取組み確認

社長・安全統括管理者・鉄道事業担当役員が現業職場を巡回し、現業所属員と直接対話を行い、安全に関する取組みや実作業の確認を行いながら、安全意識の高揚を図っています。2017年度は年間9回の巡回を実施し、さらに職能の異なる技術職場の連携を確認するため特別巡回を実施しました。

現業と本社との意見交換会

「軌道および電気職場」との意見交換会

全線を7つのエリアに分け、現業部門管理者と社長をはじめ鉄道関係役員、本社各部門の関係者が意見交換を行い、安全に関する情報の共有化、連携の緊密化に取り組んでおり、2017年度は各エリアで合計7回の意見交換会を実施し、コミュニケーションの充実を図りました。

なお、安全統括管理者は上記のほかに「軌道および電気職場」を対象とした定例外意見交換会を実施し、職能の異なる技術職場の連携について幅広い意見交換を行いました。

「輸送の安全」強化運動

年末年始「輸送の安全」強化運動

安全性の向上と一人ひとりの安全意識の高揚を図ることを目的に、夏季および年末年始に「輸送の安全」強化運動を実施しています。本運動期間中は鉄道事業本部としての点検項目を定め、輸送の安全について現業から本社までが一丸となって点検するとともに、社長をはじめ役員が現業職場を巡回し各職場における安全意識の高揚を図っています。

事故の芽対策とヒヤリハットデータベースシステムの活用

ヒヤリハットデータベースシステムの操作画面

輸送の安全に関して発生したすべての事象から、社内基準に基づき抽出したものを「事故の芽」とし、それぞれの事象に対して多面的(人・もの・環境・管理)な分析を行い、原因究明と対策策定を行うことで、同種事象の再発防止に努めています。

また、「事故の芽」には至らない事象を「安全のたね(ヒヤリハット)」として情報展開しているほか、安全活動のさらなる充実に向け、2015年10月よりヒヤリハットデータベースシステムの運用を開始しました。これまでに他職場で発生した事象について職場に掲出し注意喚起を図るほか、他職場の良い取組みを取り入れるなど、ヒヤリハット情報を「他山の石」として積極的に活用することにより、事故の未然防止を図っています。

ヒヤリハットデータベースの活用
ヒヤリハット収集箱
【「安全のたね(ヒヤリハット)」情報からの改善事例1】
【「安全のたね(ヒヤリハット)」情報からの改善事例2】
【「安全のたね(ヒヤリハット)」情報からの改善事例3】
運転業務研究発表会での発表

運転業務研究発表会

2017年11月16日・17日に開催された一般社団法人日本鉄道運転協会主催の第38回運転業務研究発表会に参加し、「お客様目線に立った取組みについて(ドア挟み事象を1件でも減らそう)」をテーマに、第一線で働く乗務員が日頃の車掌の経験を活かし安全への取組みについて発表しました。安全への取組みを客観的にまとめることで、更なる安全意識の向上を図ることができました。

ヒューマンエラーに関する講演会・相談会の実施

ヒューマンエラーに関する相談会

安全推進活動として、2016年度に実施した「安全活動に関する意識調査アンケート」の結果を踏まえ、職場の安全のキーマンである現業管理者(助役)を主な対象としたヒューマンエラーに関する講演会および相談会を4回実施し、各職場での事故の未然防止に繋げました。

委託会社・協力会社との安全に関する取組み

事故防止および災害防止連絡会議

設備の点検・補修を委託している会社や、各種工事を行う協力会社とともに、事故防止および災害防止に係る会議を開催し、「輸送の安全」強化運動前の安全管理体制の確認をするとともに、安全教育や情報交換を実施しています。

2017年度は7月3日、11月27日に開催し、7月には記念講演として、ジェイアール東日本コンサルタント株式会社 取締役技術統括(早稲田大学客員教授)石橋忠良氏に「地震被害と復旧・今後の地震対策」をテーマにご講演いただきました。また、協力会社から事故防止、安全に関する取組みについて発表を行い、安全に関する情報共有を行いました。

同業他社や他職場との交流

同業他社との安全啓発活動

同業他社や異なる職場との交流や意見交換、イベント等を、現業職場が主体となって数多く実施し、安全推進活動の充実や情報共有に努めました。2017年度は同業他社との積極的な交流により、当社安全活動の紹介や他社の先進的な取組みを取り入れるなど、現業における安全意識のレベルアップに貢献しています。

他社事故事例への対応

他社で発生した重要な事故事例について鉄道事業本部内へ水平展開し、当社の対応状況を確認するとともに、半年ごとに取りまとめて鉄道事故防止等安全推進委員会(5月、11月)で共有しています。

安全監査(鉄道輸送の安全に関する内部監査)の実施

安全監査は、関係部署の安全管理体制の取組みが構築され、その仕組みが適切に運用され、有効に機能しているかについて確認し、社内全体の安全管理体制を継続的に改善する仕組みを確立することを目的としています。監査の実施にあたっては、監査責任者(安全推進部長)をはじめとする監査担当者が監査項目別にヒヤリングや記録の閲覧等を行います。


安全監査の様子

2017年度は、重点監査項目を

(1)情報伝達および
    コミュニケーションの実施状況

(2)安全に関する教育の実施状況
    および記録の作成状況

(3)「安全のたね(ヒヤリハット)」の
    収集・活用状況
  (ヒヤリハットデータベースの活用状況含む)

(4)車両および施設の改良工事等
    外注工事の施工管理体制の実施状況

と定め、これらの取組み状況について確認し、
必要により助言を行いました。

◆平成30年度安全重点施策

平成30年度は、安全目標である「重大事故・重大インシデントゼロ」の継続を目指して、以下の項目について重点的に実施していきます。

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