新・駅前そぞろ歩記

いっときの夏を惜しみ湿原や水辺に咲き競う尾瀬の花々
今回の登場人物
尾瀬沼(おぜぬま)

標高1665mの尾瀬沼の夏は、ほんのいっとき。その短い盛夏の 間にニッコウキスゲやオゼヌマアザミなどの固有植物たちが競うようにいっせいに花を咲かせます。
そんな夏の尾瀬に行こう! と思ったら、浅草駅から発車する日本私鉄唯一の夜行列車「尾瀬夜行23:55」が便利。その一方で、川越駅西口から乗車する東武東上線&高速バス「尾瀬号」という行き方もあり、これを利用すれば日帰りでの尾瀬沼散策が可能になります。
ゆっくりと尾瀬を満喫するなら、1泊して尾瀬ヶ原まで足を延ばすのもオススメです。

川越駅
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尾瀬沼
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東上線&高速バス「尾瀬号」で群馬県側から尾瀬入り

これまで新宿駅から尾瀬の群馬県側玄関口である尾瀬戸倉・大清水まで高速乗合バス「尾瀬号」が1日3往復していましたが、今年度からそのうち2往復が川越駅西口経由に。東上線沿線に住む方々にとって尾瀬がぐっと身近になりました。

朝7時50分、川越駅を発車したバスは関越自動車道を走って、10時55分には早くも終点の大清水に到着。標高は1180m。尾瀬国立公園は特別保護地区なので、車の通行はここまで。ここからは歩きに歩いて標高1665mの尾瀬沼を目指します。ただ、この夏は大清水・一ノ瀬間(約3㎞)で低公害車両を試験運行。乗車人数に限りはありますが、一般ハイカーも無料で利用することができます。

一ノ瀬休憩所からは、緑濃い三平峠を越える山路。ずっと木道が敷設されているので足元は安全です。途中にはマイナスイオンたっぷりの滝や渓流、「岩清水」という湧水などもあり、山歩きに疲れた体を癒やしてくれます。

一ノ瀬から歩き出して約1時間。ようやく尾瀬沼が見えてきました。まずは三平下に出て尾瀬沼山荘で休憩。ついでにここでランチタイムです。

太古の大自然が創り出した至高の芸術とも言える尾瀬は、只見川源流に形成された本州最大の高層湿原「尾瀬ケ原」と高山湖の「尾瀬沼」、それを取り囲む山々の一大原生林地帯から成り立っています。今回訪れた尾瀬沼は燧ヶ岳(ひうちがたけ)の噴火によってせき止められた湖で、周囲は約9㎞。水深は最も深いところで約9・5mあります。

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戦場ヶ原
尾瀬沼の畔を巡って広大な大江湿原へ

三平下から湖に沿って木道を歩きます。背後に雄大な燧ヶ岳を抱く湖畔の表情は千変万化。そして木道の周りには夏を彩る花が満開です。とりわけ8月には、尾瀬にしかない固有種のオゼヌマアザミが紅紫色の花を咲かせます。

尾瀬では植物の採取は一切禁じられているので、景色と同様、綺麗な花もカメラの中にお持ち帰りを。そして登山道や木道から外れた所に踏み込まない。湿原に踏み入れた一歩は回復まで百年の時を費やします。また、自分のゴミはすべて持ち帰ることも尾瀬の自然を守る大切なマナーです。

尾瀬沼東岸には山小屋やキャンプサイトの他に、環境庁が設置した尾瀬沼ビジターセンターがあります。ここには職員が常駐し、窓口では尾瀬についてのさまざまな情報を提供。館内では尾瀬の自然と歴史をパネルで展示。また、週末には自然観察会なども参加無料で開催しています。

尾瀬沼東岸から沼山峠に通じる木道を行けば、そこは一面の大江湿原。ニッコウキスゲの大群生で知られる人気のエリアです。湿原の中を流れる透明な水の小川にはギンブナやイワナ。何よりも、なだらかに広がる湿原の開放感あふれる景観が最高です。

大江湿原から沼山峠までは木道が敷設されていて、安全に1時間ほどで越えられます。帰りはバスで会津高原尾瀬口駅へ。野岩鉄道から東武鉄道に乗り継げば、その日のうちに首都圏へ帰還できるのです。さらに1泊2日であれば、尾瀬ケ原の周遊や日本百名山の燧ヶ岳の登山も楽しめますよ。

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尾瀬沼MAP
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