新・駅前そぞろ歩記

五月晴れに誘われて水の郷に親しむ
今回の登場人物
柳生(やぎゅう)

東武日光線の柳生駅は木造瓦屋根のこぢんまりとした駅舎。昼間の駅前は至ってのどかです。駅の近くには渡良瀬遊水地の谷中湖。湖に沿って新古河、柳生、板倉東洋大前の3駅がありますが、中央エントランスに最も近いのが柳生駅です。この地域は穀倉地帯で、「北川辺コシヒカリ」というブランド米の産地でもあります。広々とした田園、さえぎるものがなく青空が続く光景は、まさに日本の原風景を思わせます。

柳生(やぎゅう)
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柳生(やぎゅう)
「ラムサール条約湿地となった渡良瀬遊水地

柳生駅から遊水地をめざす前に、まず立ち寄りたいのは、遊水地に面したスーパー堤防上にある「道の駅きたかわべ」です。地元の新鮮野菜を販売する直売所や、地元産の食材を使ったレストランがあります。同じ敷地内には観光案内所を兼ねた「北川辺スポーツ遊学館」もあります。ここは遊水地を楽しむ人々の支援施設で、カヌーやヨット(ともに団体のみ)、自転車などを貸し出しています。ラウンジには遊水地の植物や動物などの自然環境のパネル展示が。これを一通り見ておくと、観察眼が広がります。また展望デッキからは遊水地を一望。天気がよければ日光連山まで眺めることができます。

さあ、ここから自転車で谷中湖へ。

渡良瀬遊水地は埼玉・栃木・茨城・群馬の4県にまたがる面積3300haの広大な湿地帯。山手線内側の約半分に相当する広さです。明治の足尾銅山の鉱毒を沈殿させ無害化する目的で造られ、その後は治水対策の調整池として整備されました。 遊水地の大半を占めるヨシ原には貴重な動植物が確認され、埼玉県で初めてラムサール条約湿地として登録されています。

遊水地の大半を占めるヨシ原には貴重な動植物が確認され、埼玉県で初めてラムサール条約湿地として登録されています。

この遊水地の中で常時水をたたえているのが、周囲延長9.2㎞のハート型をした谷中湖。湖面は堤防で3つのブロックに分けられ、釣り、ウィンドサーフィンやカヌーに利用されています。また、湖畔は親水多目的ゾーン、スポーツゾーン、子供広場ゾーン、そして谷中村史跡保存ゾーンに分けられています。

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柳生(やぎゅう)
水の郷百選に認定された 北川辺の田園風景

4県にまたがる渡良瀬遊水地ですが、柳生駅の近くには、埼玉・栃木・群馬の3県が接する3県境があります。小さな標識があるだけなので分かりにくいですが、山や河川ではなく、気軽に見に行ける平地にある3県境は全国で唯一ここだけ。

次に柳生駅の南側に広がる加須市の北川辺地域を自転車で回ってみました。利根川と渡良瀬川に挟まれた北川辺は昔からの穀倉地帯で、近年はブランド米「北川辺コシヒカリ」で知られています。

「柳生の桜堤」は、川の流れで溜まった土砂で出来た土手ですが、川そのものはいまはなく、その名残を偲ぶ遊歩道になっています。

田園を辿ってやって来たのは、北川辺ライスパーク。ここは農業体験施設で、田んぼオーナー制による田植えや稲刈り、イチゴ収穫などが体験できます。

ライスパークには北川辺郷土資料館も併設。ここには水害に見舞われながらも利根川と共に生活してきた北川辺の歴史や、自然に関する資料が展示されています。興味を引いたのは「水み塚つか」。土や石で高くした塚の上に倉を建て、洪水の際の避難場所にしたものです。軒下には「揚あげ舟ふね」と呼ばれる小舟が吊るされていて、いざというときはこれで脱出。水害が多かった時代の文化遺産です。

水の郷ふれあい公園は、住宅地にある小さな公園。ここからは地平線まで広がる壮観な田園風景を眺めることができます。5月は田植えの季節。輝きの水田です。じつは北川辺は国土交通省が定めた「水の郷百選」に認定されているのです。

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柳生MAP
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