新・駅前そぞろ歩記

サクラ咲く公園やケヤキ並木が誘う街
今回の登場人物
鶴ヶ島(つるがしま)

春はやっぱりお花見。今年はどこへ行きますか? そぞろ歩きしながら楽しむなら、東上線で行く「鶴ヶ島」もおすすめです。小江戸・川越に隣接する街ですが、観光地ではないだけに、サクラの季節の賑わいも和やか。メインになる「鶴ヶ島市運動公園」の太田ヶ谷沼周辺では、水辺に映える花の表情が鮮やかで見事です。周辺を歩いても、きれいなケヤキ並木や雑木林の眺めが心地よい。街歩きをすれば、すてきなお店が点在し、春の散策にぴったりです。

鶴ヶ島(つるがしま)
ページ上部へ
鶴ヶ島(つるがしま)
ケヤキ並木を抜けて「鶴ヶ島桜まつり」の会場へ

昔々、この地方には広い水田に囲まれた小高い丘があり、そこに生えた2本の相生の松に、美しい鶴が舞い降り巣づくりをしたとかーー。この伝承に「鶴ヶ島」の名は由来するといわれます。民話の世界も魅力的ですが、現在の駅周辺には、そうした古いイメージはありません。いかにも暮らしやすそうなステキな街並みが広がります。西口ロータリーの風景などは、むしろおしゃれな街に降り立った感じ。街路樹を配した広場から商店街をめぐるのも楽しいそぞろ歩きです。毎年7月に「サマーカーニバルin鶴ヶ島」が、この西口駅前の商店街を歩行者天国にして開催されます。本場サンバダンサーのパレードを中心に、阿波踊りの共演があったり露店が軒をつらねたり、情熱のリズムに沸きたちます。もちろんこのイベントは次の機会のお楽しみになりますが、いまはサクラのシーズン。商店街を中心に、閑静な住宅街にいたるまで、春の気分に満ちています。

鶴ヶ島のサクラといえば、まず「鶴ヶ島市運動公園」。市をあげて開催される「鶴ヶ島桜まつり」は、家族ぐるみで楽しめる趣向ですっかり人気になっています。このお花見には、商店街を抜けても行けますが、ちょっとした距離。西口から東武バスを利用して行けば、後は徒歩圏内になります。さわやかなケヤキ並木(川鶴けやき通り)も通りますから、おすすめのルートです。やがて団地や広々とした田園風景の向こうに現れてくる運動公園は、かなり広大で、市民の森といった感じの佇まいを見せています。

ページ上部へ
鶴ヶ島(つるがしま)
鶴ヶ島(つるがしま)

運動公園の中でも、お目当ては「太田ヶ谷沼」。お弁当持参で集う街の人々と一緒に春を楽しみましょう。このサクラに囲まれた沼は、今のように整備されるまで、近隣の田畑に恵みをもたらす灌漑用水だったとか。一説には古代人もその豊かな湧水を利用していたといわれます。そうした歴史を背景に、いまはサクラの名所となって人々の目を癒してくれます。木製のデッキやベンチを配した情緒も格別。水面に影を映すソメイヨシノも、小径や広場を彩る花影も華麗ですが、このさり気なさもとてもステキです。

こうした自然を体感できるのは、この公園の特徴。沼の隣りにある「自然観察の森」では、野鳥の声を聴きながら、懐かしい雑木林の世界に触れられます。”運動”公園とあるように、スポーツやレクリエーション施設の充実は驚くほど。ジョギングコースだって2種類あるし、授乳やオムツ替えに親切な”赤ちゃんの駅”もありました。

そもそも鶴ヶ島は、公園の多い街。この運動公園ほどのスケールは稀ですが、”公園めぐり”ができるほど、あちこちで出合います。たとえば、川越市寄りにある「境児童公園」は、古墳がある公園として知られます。かつて、この近くで「鶴ケ丘稲荷神社古墳」が発掘され、墳丘や石室が園内に復元されているのです。この地域の古代を物語る1シーン。心地よい春の街は、その奥の深さと彩りで訪れる人を楽しませてくれます。

ページ上部へ
鶴ヶ島(つるがしま)
地図をダウンロード
Adobe Readerダウンロードページへ

PDFファイルをご覧になるには、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerは、アドビシステムズ社より無償配布されています。