新・駅前そぞろ歩記

板倉東洋大前
さわやかな秋風吹く水郷の町を巡る

利根川と渡良瀬川の合流域に広がる群馬県板倉町は、肥沃な穀倉地帯。古来、水との共生をはかるためにさまざまな知恵と工夫を紡(つむ)ぎ、独特の川風景を醸しています。これらの河川景観は「利根川・渡良瀬川合流域の水場景観」として、関東で初となる国の重要文化的景観に選定されています。水辺の土地ならではの文化や歴史を見て知って、自転車で快適にポタリングしながら水辺の魅力スポットを巡りましょう。

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板倉東洋大前
いまも残る水塚(みつか)は命を守ってきた川の文化

栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたがる日本最大の遊水地・渡良瀬遊水地の西側に沿って走る東武日光線。板倉東洋大前駅東口から住宅街を抜ければ、遊水地にあるハート形の谷中(やなか)湖(渡良瀬貯水池)に出ます。その手前には遊水地を立体模型や植物のジオラマ展示などで紹介する「わたらせ自然館」。ここでレンタサイクルを受け付けています。また近くには板倉町文化財資料館が。ここでは板倉町の水郷文化を象徴する水塚の模型が展示されています。かつての水害時の避難小屋である水塚は主屋より3~5m高い場所に土盛りして建てられており、洪水になると主屋の軒に吊り下げた揚舟(あげぶね)を使って人や家財、食料、家畜などを運び込んでいました。現在は渡良瀬遊水地の治水がこの地域を水害から守っていますが、水塚はいまも町内にたくさん残されています。

板倉町の町域の多くは板倉東洋大前駅西口側に広がっていて、利根川水系の板倉川と谷田川(やたがわ)が東西に流れています。谷田川に沿った堤道はサイクリングコースで、低地農法の「川田(かわだ)」やヨシ原、池沼、樋門(ひもん)、沈下橋といった水郷ならではの景観を巡ることができます。

ちょっと寄り道して「智恵付け天神」こと髙鳥天満宮へ。ここの拝殿には全国でも珍しい百人一首の天井画が施されています。

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板倉東洋大前
揚舟に乗って 秋の谷田川を周遊

谷田川沿いを上流に向かって進んでいくと、「群馬の水郷公園」に到着。ここは谷田川河川敷の池沼や緑に囲まれた自然をそのまま生かした広大なフィッシングパークで、3カ所の釣り場にはヘラブナが放流され、太公望の人気を集めています。

この水郷公園を舞台に、春(5月・6月)と秋(9月・10月)に催されるのは「群馬の水郷 揚舟 谷田川めぐり」です。かつて水害時の移動手段として使われていた揚舟に乗って、自然溢れる谷田川を周遊するツアー。川面に映える木々の緑が揺れ、野鳥のさえずりを聞きながら、竹竿1本を使った船頭さんの操船で2キロのコースを60分かけてゆったりと舟旅を楽しみます。

水郷の板倉町巡りの仕上げに訪れたのは、板倉雷電神社。関東に広く点在する雷電神社の総本宮です。いまは普通の町中にありますが、明治中期までは大きな沼に突き出した半島に建っていたそうです。髙鳥天満宮と同様、左甚五郎(ひだりじんごろう)10代目石原常八(つねはち)の手になるに社殿の彫刻が見事です。境内裏手の社務所に鎮座するのは「なまずさん」と呼ばれる銅像。撫でると地震除けなどのご利益があるといわれます。というわけで、鯰(なまず)は水郷の板倉町を代表する川魚。神社の門前や町内には郷土料理として鯰料理を提供するお店があります。

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板倉東洋大前MAP
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