3.「輸送の安全」の維持・向上のために

■「輸送の安全」を推進する社内の体制

鉄道事業法に基づき、安全管理体制を確立し、輸送の安全の維持および向上を図ることを目的として、安全管理規程を制定しています。同規程では、鉄道事業における輸送の安全を確保するため、「安全方針」・「安全行動規範」をはじめ、社長が選任した安全統括管理者のもと、安全を推進し管理する社内の体制や各部門の責任者の役割・権限等を定めています。

■「輸送の安全」への取組みの確実な実施に向けて

「輸送の安全」に関する会議

輸送の安全の確保に向けて、以下の会議を通じて、経営トップから現業までが一体となって安全管理体制の見直し・改善を推進しています。これらの会議では安全に関する様々な取組みを審議し、安全施策の確実な実施と自律的・継続的な改善(スパイラルアップ)を図っています。

安全の日

「安全の日」社長訓示

全社をあげて「鉄道の安全」の取組みについて再確認し、役員から社員一人ひとりが安全を最優先する意識の高揚を図るために、毎年8月1日を「安全の日」と定めています。

2020年度は、社長および安全統括管理者が「安全に関する訓示」を行い、新型コロナウイルス感染症への対応や、オリンピックを踏まえたテロ対策の重要性、ならびに昨今の激甚化する自然災害への備えについて、社内およびグループ各社へメッセージを発信し、東武グループとして安全を最優先する意識の更なる高揚を図りました。

東武グループ交通事業者安全推進連絡会

グループ各社との意見交換会

安全に関する取組みを東武グループ内で情報共有する、「東武グループ交通事業者安全推進連絡会」を開催しました。本連絡会は、東武グループ各社の安全管理体制の充実を図ることを目的として、2011年度から開催しています。

2020年度は、グループ各社と新型コロナウイルス感染症対策に関する取組みについて意見交換を行いました。

安全巡回

現業職場への安全巡回

社長・安全統括管理者・鉄道事業に係る役員が現業職場を巡回し、現業社員と直接対話を行い、安全に関する取組みや実作業の確認を実施しています。

2020年度は、全線を5つのエリアに分け、エリアごとに全職種の現業職場を巡回し、現業社員とのコミュニケーションを通して安全意識の高揚を図っています。

現業と本社との意見交換会

現業と本社との意見交換会

現業部門管理者と社長をはじめ鉄道関係役員、本社各部門の関係者が意見交換を行い、安全に関する情報の共有化、連携の緊密化に取り組んでいます。

2020年度は、全線を5つのエリアに分け、エリアごとに意見交換会を実施しコミュニケーションの充実を図りました。

「輸送の安全」強化運動

「輸送の安全」強化運動

安全性の向上と一人ひとりの安全意識の高揚を図ることを目的に、夏季および年末年始に「輸送の安全」強化運動を実施しています。本運動期間中は鉄道事業本部としての点検項目を定め、輸送の安全について現業から本社までが一丸となって取り組むとともに、社長をはじめ役員が現業職場を巡回し各職場における安全意識の高揚を図っています。

また、各種工事を行う協力会社とともに「事故防止および災害防止に係る連絡会議」を開催し、協力会社と連携した安全管理体制の確認を行っています。

運転業務研究発表会での発表

運転業務研究発表会での発表

2020年11月に開催された一般社団法人日本鉄道運転協会主催の第41回運転業務研究発表会において、「知的障害者を受け止めるマインドを〜バリアのない鉄道会社を目指して〜」をテーマに、誰もが安心して鉄道をご利用いただくための方法について研究した結果を発表し、鉄道局長賞を受賞しました。知的障害をお持ちのお客様が直面する「見えないバリア」について理解を深め、さらなる安全意識の向上を図ることができました。

事故の芽・「安全のたね(ヒヤリハット)」の取組み

ヒヤリハット収集箱

輸送の安全に関して発生したすべての事象から、社内基準に基づき抽出したものを「事故の芽」とし、それぞれの事象に対して多面的(人・もの・環境・管理)な分析(4M4E分析)を行い、原因の究明と対策の策定を行うことで、同種事象の再発防止に努めています。

また、事故になりかねないヒヤリとした体験や、ハッとした経験等を「安全のたね(ヒヤリハット)」として収集し情報を展開しています。

事故の芽・ヒヤリハットデータベースシステムの活用

事故の芽・ヒヤリハットデータベースシステムの操作画面

各職場で発生した「事故の芽」や「安全のたね(ヒヤリハット)」をデータベースへ登録することで、他職場で発生した事象について共有できる環境を整備しています。共有した事象を「他山の石」として積極的に活用することにより、類似事象への注意喚起を図るほか、他職場の良い取組みを取り入れるなど、事故の未然防止、再発防止に努めています。

【「安全のたね(ヒヤリハット)」情報からの改善事例1】
【「安全のたね(ヒヤリハット)」情報からの改善事例2】
他社事故事例への対応

他社で発生した重要な事故事例については、鉄道事業本部内各部で、当社の対応状況を確認するとともに、鉄道事故防止等安全推進委員会(5月、11月)で共有し、類似事象の未然防止を図っています。

各部門での安全への取組み

各部門では、列車の安全運行を支えるために、様々な安全への取組みを実施しています。

【取組み事例1】
【取組み事例2】
安全監査(鉄道輸送の安全に関する内部監査)の実施

安全監査は、関係部署の安全管理体制の取組みが構築され、その仕組みが適切に運用され、有効に機能しているかについて確認し、社内全体の安全管理体制を継続的に改善する仕組みを確立することを目的としています。監査の実施にあたっては、監査責任者(安全推進部長)をはじめとする監査担当者が監査項目別にヒヤリングや記録の閲覧等を行います。


安全監査

2020年度は、重点監査項目を

(1)情報伝達およびコミュニケーションの実施状況

(2)安全に関する教育・訓練の実施状況および記録の作成状況

(3)ヒヤリハット・良好事例等の収集・活用状況(「事故の芽」・ヒヤリハットデータベースの活用状況含む)

(4)鉄道施設および車両の点検・検査の実施状況と外注工事等の施工管理体制

と定め、各部門での取組み状況や課題について確認し、改善に向けた提案等の助言を行っています。

運輸安全マネジメント優良事業者等表彰

運輸安全マネジメント優良事業者等表彰

2019年に実施された運輸安全マネジメント評価において、経営トップから現場まで一丸となって安全管理体制の構築に努め、他の運輸事業者の模範となり得る取組みを実施していることが評価され、2020年10月に運輸安全マネジメント優良事業者等表彰「国土交通大臣表彰」を受賞しました。

運輸安全マネジメント優良事業者等表彰
運輸安全マネジメントに関し、著しく顕著な功績のあった事業者、団体、個人に対して、国土交通省より表彰を行うものです。

■安全への投資


安全関連設備投資として、2020年度は総額153億円(鉄道事業設備投資の約75%)を投入し、踏切および駅の安全対策のほか、線路・電気等施設の更新、増強改良等、様々な設備対策を実施し、安全対策の強化・向上を図っています。

■2021年度安全重点施策

2021年度は、安全目標である「重大事故・重大インシデントゼロ」の継続を目指して、以下の項目について重点的に実施してまいります。

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