新・駅前そぞろ歩記

初詣で華やぐお大師さまと科学の夢で遊ぶ子どもたち
今回の登場人物
大師前・西新井(だいしまえ・にしあらい)

西新井という地名は、空海(弘法大師)がこの地で悪疫流行の難儀を聞き、護摩祈願をして厄除けを行った際、その堂の西側から清水が湧き出て井戸となったという伝説が由来と言われています。西新井駅〜大師前駅間(西板線の一部)が開通したのは昭和6年。その後、大師線と名を変え現在に至ります。西新井の町を見下ろしながらコトコトと高架を走る電車は、いわば西新井大師への鉄路の参道です。

大師前・西新井(だいしまえ・にしあらい)
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東武宇都宮・南宇都宮(とうぶうつのみや・みなみうつのみや)
西新井大師の広い境内は見どころいっぱい

正式名は五智山遍照院總持寺。天長3(826)年、空海の創建といわれる西新井大師は、古くか ら川崎大師とともに関東を代表する厄除け開運の霊場として有名です。本尊は十一面観世音像で、空海作の秘仏とされています。その本尊が過去に幾度も火災に遭いながらも難を逃れたことから、「火伏せの大師」とも呼ばれます。本堂は壮大華麗な大伽藍。元日の0時にはこの本堂で大護摩修行が行われ、三が日の参拝者数は約60万人を数えます。

また、広い境内にはさまざまな堂や碑があります。両脇に金剛力士像を配した山門。イボ取りに霊験ありと伝えられる塩地蔵。西新井の地名の由来となった加持の井戸。七福神の弁財天を祀る弁天堂。女性の願いごとを叶えてくれるといわれる如意輪堂。鐘楼の鐘は戦時中に供出された後、アメリカに持ち帰られ、その後返還されたことから「滞米10年の鐘」と呼ばれています。その他にも六角観音堂や水洗い地蔵、四国八十八箇所お砂踏み霊場、十三重宝塔、権現堂、奥の院、出世稲荷などなど。

西新井大師の山門から広がる門前町の参道もまた正月はたいそうな賑わいです。参道の名物はヨモギの香りが爽やかな草団子。手焼き煎餅もまた戦前から続く老舗があり、参道には醤油の香ばしさが漂います。ウナギなど川魚を供する割烹も名物。1月21日の初大師の日には「だるま市」も開かれ、境内の露店や参道では「福だるま」が売られています。

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大師前・西新井(だいしまえ・にしあらい)
宇宙で遊ぶギャラクシティと西新井の街に残る江戸時代

西新井駅西口周辺では近年、工場跡地を中心に大規模な再開発事業が行われました。ショッピングモールやシネマコンプレックスなどの商業施設がオープンし、高級マンションも建ち並ぶ街の新しい顔となりました。

東口の顔は「ギャラクシティ」。平成25年に、 体験型複合施設としてリニューアルオープン。年間約160万人が利用するという人気ぶりです。とくに、高さ10mに張り巡らせたネット上で思い切り体を動かす「スペースあすれちっく」や、全身を使って壁をよじ登る「クライミングぱーく」(小学生限定)などは、行列ができるほどの大人気。

最新鋭の映像機器を導入したプラネタリウム「まるちたいけんドーム」では、世界最高水準のリアルな星空映像を実現。また、「見る」だけではなく、「聴く」「創る」などマルチな体験ができることも特徴です。

その一方、西新井には旧日光街道に沿って江戸時代の名残が見受けられます。当時この辺りは島根村という農村でしたが、その村の名主の邸宅をいまに伝えるのが赤羽家長屋門です。

辻に残る小さな祠は猿仏塚。子ども好きなサルの民話が伝えられ、子どもが病になると泥団子を供え、治ると米団子でお礼をする慣わしがあったそうです。

国土安穏寺はかつて徳川将軍家の御膳所で、寺紋は葵の紋所。庭には三代将軍家光公「御手植えの松」が、いまも元気に枝を伸ばしています。

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大師前・西新井MAP
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