新・駅前そぞろ歩記

歴史と科学に親しみながら和やかに川辺の街を行く
今回の登場人物
蒲生(がもう)

ちょっと各駅停車の旅気分。東武スカイツリーラインの「蒲生」は発見の多い街です。綾瀬川の流れと旧日光街道に彩られた田園風景や、歴史的な「大間野町旧中村家住宅」など、江戸の面影に出合う一方で、未来のノーベル賞候補たちが遊ぶ「越谷市科学技術体験センター ミラクル」があることも面白い。人に優しい水と緑に恵まれた地で、まだ浅い春を探しながら、散策してみましょう。

蒲生(がもう)
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蒲生(がもう)
”化学”と遊ぶムーンウォーカーやサイエンスショー

北千住から東武スカイツリーラインに乗れば、新越谷駅のひと駅手前。この蒲生駅は、”水郷こしがや”と呼ばれる広大な越谷市の南側の玄関口です。普通電車の駅らしい静かな雰囲気のなか、穴場的な見どころが私たちを待っています。

まず行ってみたいのは、新越谷駅からも徒歩圏内にある「越谷市科学技術体験センター」です。ここは「ミラクル」の愛称で親しまれていて、サイエンスの面白さや魅力に実際に触れ、体験できるミュージアム。大人たちはその不思議に驚いたり、子どもたちは遊びながら科学に目覚めたり。さまざまな科学工作や科学実験の体験に参加できます。”ムーンウォーカー”という装置もおすすめ。なんと月面を歩く感覚が実感できます(ただし参加者は身長110㎝以上、体重 ㎏以下の人に限られますから念のため)。

毎月テーマを変えて、毎日開催されている”サイエンスショー”もまた評判。液体窒素を使った実験や、液体の色が変わる実験、さまざまな爆発実験や空気砲など、小さな子どもから大人まで楽しめます。

一方、新しいスタイルのカフェやレストラン、パティスリーに出合えるのも、そぞろ歩きの楽しみのひとつ。たとえば蒲生駅西口にある「WAnest」という集合住宅の中に開くカフェは、店名やシェフまでが日替わりという新機軸。他にもヨガ教室や美術教室も開催されているようです。さあ、どんなお店で、すてきな時間を過ごしましょうか。

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蒲生(がもう)
新しい表情のほかにも興味深い歴史の面影が

蒲生のある越谷一帯は、古くから多くの河川に育まれ、江戸時代には日光街道の第三の宿場町として栄えました。そのため、新しい表情を見せる現在と共存して、古い歴史も発見できて面白い。未来志向のサイエンスのミュージアムを観たあとは、大間野町の「旧中村家住宅」を訪れてみましょう。

ここは、江戸時代に界隈の名主をつとめていた中村氏の旧宅。当時の建物をそのまま復元し、ケヤキやエノキなどからなる屋敷林を含む敷地全体が保存されていますから、まるでタイムスリップしたような感覚になれます。主屋の土間で靴を脱ぎ、広間や奥座敷から土蔵までじっくり案内してもらえます。

房州石で造られた石蔵は、米俵の保存に適した特別な造り。正面に武家風な長屋門があることからも中村家の格式が偲ばれます。失われつつある伝統的建築技法も圧巻ですが、磨き抜かれた古材が随所に活かされて、特にケヤキの大木を贅沢に使った主屋の大黒柱や長屋門の一枚板には、「凄い!」のひと言です。

こうした蒲生の”今と昔”を結び、時代を超えて流れるのが綾瀬川。そのきれいな川辺の風景を一望しながら散策できるのが、歩きやすく整備された「綾瀬川緑道」です。対岸には草加市の並木道が延び、春には桜が咲き誇ります。川に架かった陸橋を渡って行くのは東武電車。道すがら見る家々の庭の木や花も、やわらかく芽吹いているようです。

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蒲生MAP
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