新・駅前そぞろ歩記

西小泉~東小泉
時代の香りに包まれた蔵のまちを巡る

東武鬼怒川線の終着駅は新藤原ですが、線路はさらに北へと延びています。東武の特急「スペーシア」から「AIZU マウントエクスプレス」に乗り換えて会津若松まで行くことができます。また、新型特急「リバティ会津」は浅草から鬼怒川温泉を通って野岩鉄道・会津鉄道の会津田島までそのまま乗り入れるので、会津への旅がぐっと身近になりました。このルートで今年の夏休みは、さらに会津若松の北に位置する喜多方まで足を延ばしてみましょう。

喜多方
ページ上部へ
喜多方
ふれあい通りから おたづき蔵通りへ

蔵のまち・喜多方の魅力は、蔵が観光のためだけではなく、いまも人が住み、暮らしの場となっていることです。市の中心を流れる田付川(たづきがわ)を挟んで延びる「ふれあい通り」「おたづき蔵通り」に蔵が密集していますが、路地裏や郊外にも蔵があり、その数は四千棟余といわれています。喜多方駅前にはレンタサイクル店もあります。土地が平坦なので自転車ですいすい回れます。まずは、ふれあい通りから。

良質の水と米に恵まれた喜多方では醸造業が盛んで、その生業(なりわい)として最適な建物であったことから多くの蔵が建てられたそうです。甲斐本家も代々、酒造りや味噌・醤油の醸造などを営んできました。第一級風格をもつ甲斐本家の蔵は大正後期に建造。庭から見学できる蔵は「烏城(うじょう)」と呼ばれる黒漆喰で塗り固められた重厚感あふれる外観で、その1階は五十一畳敷きの広い蔵座敷です。

山中煎餅本舗は明治初期建造の店蔵。たたき(土間)と座売り空間を仕切る蔀戸(しとみど)(板扉)などが残る蔵の内装はすべて白漆喰で、天井の波打ち工法は最高の職人技によるものです。この店はいまでもレンガ造りの窯で、伝統のたまりせんべいを手焼き。炭火手焼き体験も受け付けています。

喜多方といえば喜多方ラーメン。市内に約120軒ほどあります。江戸時代の店蔵を改装してオープンしたのは、喜多方ラーメン神社&ラーメンミュージアム。割り箸をイメージした鳥居から中へ入ると、ご神体はなんと丼(どんぶり)。この丼の中に入って記念撮影もできます。

ページ上部へ
喜多方
蔵とともに暮らす 喜多方の人々

喜多方ラーメンは基本的に醤油味ベースで、一般的な麺より水分を多く含む太麺が特徴です。蔵で営業するラーメン店があるのも喜多方ならでは。昔の蔵を改装した喫茶店やカフェもあります。

江戸時代創業の味噌醤油醸造元・若喜商店のレンガ蔵は、国登録有形文化財。1階には柿の木から造られた貴重な座敷蔵「縞柿(しまがき)の間」があり、2階には総欅(けやき)という贅(ぜい)をこらした「欅の間」がありました。また、別棟の昭和館には昔懐かしのプラモデルや怪獣フィギュアなどが所狭しと展示!

おたづき蔵通りにも名蔵が並んでいます。小原酒造の店蔵は白漆喰に観音開き扉が美しく、正面から見ると時代劇の世界にタイムスリップした気分。同社の酒造りは江戸中期から。その歴史の重みが明治期建造の蔵にもにじみ出ています。裏手の酒蔵も見学できます。

昔の大米穀商の蔵屋敷を改築して公開しているのは、蔵屋敷あづまさ。会津の伝統工芸である漆作品などを展示・販売しています。食事処も併設。

木之本漆器店の2階は桐のこ人形館。会津特産の桐の木片をラーメン粉粘土に練り込んで手捻(てびね)りで成形し、蒔絵技法で彩色した桐のこ人形を堪能できます。とりわけ昭和の古い木造校舎という設定のドールハウス内で猫たちが学ぶ「猫じゃらし学園」の世界は必見!

なお、今回紹介した蔵の大半は国の有形文化財や近代化産業遺産に登録されています。このような形で喜多方の人々は蔵を誇りとして、蔵を大切にしながら、蔵とともに暮らしているのです。

ページ上部へ
喜多方MAP
地図をダウンロード
Adobe Readerダウンロードページへ

PDFファイルをご覧になるには、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerは、アドビシステムズ社より無償配布されています。