新・駅前そぞろ歩記

佐野市・佐野
幻の城下町に息づく深い歴史と伝統の技

東武伊勢崎線の館林駅から群馬・栃木両県にまたがって走る佐野線は、佐野を経て葛生まで結んでいます。それぞれの地域に特長・魅力がありますが、佐野といえばやはり関東の三大厄除け大師のひとつ、佐野厄除け大師(春日岡山惣宗寺(かすがおかやまそうしゅうじ))と佐野ラーメン。いやいや、それだけではありません。佐野市駅~佐野駅間を歩いてたっぷり紹介します。

佐野市・佐野
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金屋町通りに息づく伝統の天明鋳物

佐野市駅と佐野駅……似通った駅名ですが、佐野市駅は佐野厄除け大師の最寄り駅で、佐野駅はJR両毛線との乗換駅と覚えておいてください。まずは和のテイストにリニューアルした佐野市駅から歩きます。

市街を東西に貫く金屋町通りの「金屋(かなや)」とは鋳物(いもの)のこと。千年ほど昔、佐野氏の祖といわれる藤原秀郷(ひでさと)が河内から5名の鋳物師(いもじ)を連れてきて軍器類を鋳造したことから鋳物産業が発展。「天明(てんみょう)鋳物」と名を馳せ、江戸初期には通りの両側に70軒の鋳物師が軒を並べていたそうで、現在も数件の鋳造所(ちゅうぞうじょ)が千年の歴史と伝統を受け継いでいます。また、佐野鋳造所跡では明治の煉瓦造りのキューポラを見ることができます。併設の鐵館(くろがねかん)では天明鋳物の作品を展示・販売しています。

この金屋町通りを西に歩けば佐野厄除け大師。年末年始は大変な賑わいです。ちなみにここの梵鐘(ぼんしょう)は天明鋳物師105人が合作して寄進したものです。お大師さまのそばに建つ佐野市観光物産会館は土産品の販売の他、まちの情報コーナーでは各種パンフレットを取り揃え、佐野観光の拠点になっています。

金屋町通りの北に並行して延びる日光例幣使(れいへいし)街道は佐野市街一番の目抜き通り。見世蔵(みせぐら)造りの商家など宿場の名残が漂っています。

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佐野氏ゆかりの城跡はいま紅葉スポットに

日光例幣使街道に沿って2つの美術館があります。1つは「人間国宝田村耕一陶芸館」。佐野市出身の田村耕一は酸化鉄によって文様が表現される「鉄絵」技法で人間国宝となった陶芸家。その作品の数々を鑑賞することができます。もう一つは佐野東石(とうせき)美術館。ここには近現代の日本美術作品約二千点が収蔵され、志木に合わせて展示されています。

日光例幣使街道からさらに北へ歩くともう佐野駅前近く。駅を中心にして東西に西宮(にしのみや)神社と星宮(ほしのみや)神社があります。西宮神社は11月19・20日の恵比寿講が有名。参道いっぱいに軒を連ねた「お宝飾り」が露天の灯りで煌(きら)めいていて、参拝者を魅了します。一方星宮神社は江戸期の店名鋳物師が作った銅像鳥居や鉄の灯籠が見物。

佐野駅の北口へ回ると佐野氏が治めていた佐野城跡。遺跡は平山城で、現在は空堀の内堀と水堀の一部が残り、全体は城山公園として整備され、春のサクラやツツジ、秋の紅葉で市民に親しまれています。

さて、佐野グルメといえば佐野ラーメン、いもフライ。それに続く第3の佐野グルメとして「佐野黒から揚げ」が名乗りを上げました。「ソースが香るヤミツキ味」と謳って市内二十数店でそれぞれの味を競っています。

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佐野市・佐野MAP
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