新・駅前そぞろ歩記

小村井・東あずま
小村井・東あずま

東武亀戸線の2両編成の電車は、曳舟駅を発車し、北十軒川と旧中川に囲まれた墨田区の下町をトコトコと走って亀戸に向かいます。墨田区といえば「ものづくりのまち」。小村井駅・東あずま駅の沿線にも、金属・繊維など多種多様な中小工場や伝統工芸の工房が点在しています。そして、ものづくりのまちを代表する施設の一つが「花王ミュージアム」です。

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花王すみだ事業場は大正12年に石鹸工場として操業。現在は石鹸以外にも多くの製品の研究や製造をしています。そのすみだ事業場に平成18年に開設されたのが、花王ミュージアムです。テーマは、人と暮らしを支える「清浄文化」。明治の創業以来、清潔な暮らしを支えてきた花王の、ものづくりの精神を紹介する博物館です。

館内は3つの展示ゾーンで構成。「清浄文化史ゾーン」では、古代から現在までの清浄な暮らしの文化の歴史を紹介。江戸時代の銭湯の様子や、昭和の公団住宅の一室を再現した空間などが興味深く見学できます。「花王の歴史ゾーン」では、明治から今日までの花王の足跡を、当時の製品と広告などで紹介。石鹸やシャンプー、化粧品、洗剤などの進化・発展ぶりを間近に見てきた昭和世代にとっては、その時代の暮らしぶりを懐かしく振り返る空間。そして最後のゾーンは、花王の現在と未来を伝える「コミュニケーションプラザ」。最新の技術と製品を紹介しています。

花王ミュージアム以外にも、小村井駅周辺には、見どころがたくさんあります。花王すみだ事業場の近くに建つ吾嬬(あずま)神社の社殿は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時の子、泰時が造営したものです。

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小村井駅の南側。香取神社はこの地域の氏神で、境内には広重が描いた江戸名所の小村井梅園を復活させた香梅園があります。また近くには墨田区立の緑と花の学習園があり、春には9種類のサクラの開花が楽しめます。

小村井駅の近くには昨年、千葉大学墨田サテライトキャンパスがオープン。建物全体が実証実験空間となり、地下1階から地上2階は地域に開放するエリアとなるそうです。そして千葉大学のすぐそばには、iU情報経営イノベーション専門職大学が2年前にオープンしており、小村井駅も今後は学生街の駅として注目されるかも。

一方、東あずま駅の東側には旧中川の緩やかな流れ。水面のすぐそばに遊歩道が続き、気持ちよく散歩が楽しめます。川沿いには、早咲きから遅咲きまで9種259本のサクラが植えられています。

江戸時代からの大地主・小山家が大正6年に旧中川の堤に面して創建した住宅が、いま「立花(たちばな)大正民家園」として公開されています。千本格子(せんぼんごうし)と黒漆喰(くろしっくい)壁の正面、そして江戸の農家と町家の姿を併せ持つ構造、縁側の当時のままのガラス戸を通して見える庭の風景の揺らぎ……東京の在りし日の農村の暮らしを垣間見るようで、心和みます。

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