
■「輸送の安全」を推進する社内の体制
鉄道事業法に基づき、安全管理体制を確立し、輸送の安全水準の維持および向上を図ることを目的として、安全管理規程を制定しています。同規程では、鉄道事業における輸送の安全を確保するため、「安全方針」・「安全行動規範」をはじめ、社長が選任した安全統括管理者のもと、安全を推進し管理する社内の体制や各部門の責任者の役割・権限などを定めています。
■「輸送の安全」への取組みの確実な実施に向けて
「輸送の安全」に関する会議輸送の安全の確保に向けて、以下の会議を通じて、経営トップから現業までが一体となって安全管理体制の見直し・改善を推進しています。これらの会議では安全に関する様々な取組みを審議し、安全施策の確実な実施と自律的・継続的な改善(スパイラルアップ)を図っています。


全社をあげて「鉄道の安全」の取組みについて再確認し、役員から社員一人ひとりが、安全を最優先する意識の高揚を図るために、毎年8月1日を「安全の日」と定めています。
2018年度は、株式会社社会安全研究所技術顧問(立教大学名誉教授)芳賀繁氏より「ヒューマンエラーの防止と安全マネジメント~しなやかな現場力を創るには~」についてご講演いただくとともに、各職場が日頃行っている安全に関する取組みについて発表を行いました。

2018年11月12日に、第8回東武グループ交通事業者安全推進連絡会を開催しました。これは安全に関する取組みを東武グループ内で情報共有することにより、各社の安全管理体制の充実を図ることを目的として2011年度から開催しているものです。
グループ各社と東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたテロ対策および若手社員の技術継承について意見交換を行いました。

社長・安全統括管理者・鉄道事業に係る役員が現業職場を巡回し、現業所属員と直接対話を行い、安全に関する取組みや実作業の確認を行いながら、安全意識の高揚を図っています。2018年度は年間9回の巡回を実施しました。加えて鉄道事業本部長による巡回テーマを設定した特別巡回を2回実施しました。

全線を7つのエリアに分け、現業部門管理者と社長をはじめ鉄道関係役員、本社各部門の関係者が意見交換を行い、安全に関する情報の共有化、連携の緊密化に取り組んでおり、2018年度は各エリアで合計7回の意見交換会を実施し、コミュニケーションの充実を図りました。

安全性の向上と一人ひとりの安全意識の高揚を図ることを目的に、夏季および年末年始に「輸送の安全」強化運動を実施しています。本運動期間中は鉄道事業本部としての点検項目を定め、輸送の安全について現業から本社までが一丸となって取り組むとともに、社長をはじめ役員が現業職場を巡回し各職場における安全意識の高揚を図っています。

輸送の安全に関して発生したすべての事象から、社内基準に基づき抽出したものを「事故の芽」とし、それぞれの事象に対して多面的(人・もの・環境・管理)な分析(4M4E分析)を行い、原因の究明と対策の策定を行うことで、同種事象の再発防止に努めています。
また、危ないと思った事象などを「安全のたね(ヒヤリハット)」として収集し情報を展開しています。

安全活動のさらなる充実に向け、ヒヤリハットデータベース(2015年10月)、事故の芽データベース(2018年4月)の運用を開始し、他職場で発生した事象について共有できる環境を整備しました。共有した事象を「他山の石」として積極的に活用することにより、類似事象への注意喚起を図るほか、他職場の良い取組みを取り入れるなど、事故の未然防止、再発防止を図っています。




2018年11月14日・15日に開催された一般社団法人日本鉄道運転協会主催の第39回運転業務研究発表会に参加し、「事故予防策の二重化と運転士の心理」をテーマに、第一線で働く乗務員がヒヤリハットデータベースを活かした安全への取組みについて発表しました。安全への取組みを客観的にまとめることで、更なる安全意識の向上を図ることができました。

安全推進活動として、2016年度に実施した「安全活動に関する意識調査アンケート」の結果を踏まえ、職場の安全のキーマンである現業管理者(助役)を主な対象としたヒューマンエラーに関する講演会および相談会を6日間実施し、各職場における安全意識の向上を図っております。

設備の点検・補修を委託している会社や、各種工事を行う協力会社とともに、事故防止および災害防止に係る会議を開催し、「輸送の安全」強化運動前の安全管理体制の確認をするとともに、安全教育や情報交換を実施しています。
2018年度は2回開催し、7月2日には東武レジャー企画株式会社 伴光雄氏より「遊園地の安全について」、11月26日には国土交通省鉄道局施設課 中島崇氏より「輸送障害対策WGのとりまとめについて」をテーマにご講演いただきました。また、協力会社から事故防止、安全に関する取組みについて発表を行い安全に関する情報共有を行いました。

同業他社や他職場との交流、意見交換、安全啓発活動等を、現業職場が主体となって実施し、安全推進活動の充実を図っております。同業他社との積極的な交流により、他社の先進的な取組みを取り入れ、安全意識の向上を図っております。
他社で発生した重要な事故事例について鉄道事業本部内へ水平展開し、当社の対応状況を確認するとともに、半年ごとに取りまとめて鉄道事故防止等安全推進委員会(5月、11月)で共有しています。
安全監査は、関係部署の安全管理体制の取組みが構築され、その仕組みが適切に運用され、有効に機能しているかについて確認し、社内全体の安全管理体制を継続的に改善する仕組みを確立することを目的としています。監査の実施にあたっては、監査責任者(安全推進部長)をはじめとする監査担当者が監査項目別にヒヤリングや記録の閲覧等を行います。

2018年度は、重点監査項目を
(1)情報伝達およびコミュニケーションの
実施状況
(2)安全に関する教育の実施状況および
記録の作成状況
(3)「安全のたね(ヒヤリハット)」の
収集・活用状況
(ヒヤリハットデータベースの
活用状況含む)
(4)鉄道施設および車両の点検方法と
その実施体制に関する記録の作成状況
と定め、これらの取組み状況について確認し、必要により助言を行いました。