今回訪れたのは、幸手駅から歩いて5分ほどの距離にある「上庄かふぇ」。旧日光街道沿いに立つ重厚な建物は、築200年を超える堂々とした姿の古民家を使ったもの。店内に足を踏み入れると、分厚い扉の土蔵が目に飛び込んできて、宿場町だった幸手の歴史を感じさせてくれます。「カフェを開こうと模索していたとき、知人からこの建物が空いていることを案内されました。訪れてみると、どんな店内にレイアウトするかイメージが浮かんできて……。築200年もの歴史ある建物を利用できる機会はそうないとも思い、即決しました。初めて訪れたお客様は“すごい建物”と驚いてくれて、誇らしく感じています」。

旧街道に沿って並んだテーブル席でくつろぐと、江戸時代の旅人が行き交う光景が見えるよう。とはいえ、店内はおしゃれな調度品で統一されていて、センスの良さを感じさせます。「新しいメニューのアイデアが生まれれば、すぐに試したくなる性分。他の街のカフェで新しいメニューを見つけたら、あんな食材を組み合わせるともっと美味しくなるのでは？などと、創作メニューで人々を驚かせたくなるのです」。歴史的な建物を使ったカフェとはいえ、実にユニークなメニューがそろっているのもこのお店の魅力。

たとえば、アルコールカクテルのモヒートをアレンジしたみかんモヒートやローズモヒート、ヘーゼルナッツ味のラテ――。スペシャリティコーヒーが自慢とはいえ、他店ではお目にかかれない多彩なドリンクメニューがそろっています。ランチのおすすめは、もっちりとした食感が特徴の生パスタ。ひと休みするなら、3種類の自家製スイーツがセットになったデザート3品盛りを。桜の開花時期は、桜をテーマにした限定メニューもお目見えします。

春に訪れたい東武鉄道沿線の一つが、埼玉県東部に位置する幸手。東京都心からの距離はおよそ50㎞、東武日光線幸手駅が最寄り駅の街です。江戸時代に徳川将軍家が日光社参する際に使われた日光御成道と、五街道の一つである日光街道が交わる宿場町として栄えた歴史をもつ幸手。幸手駅や旧日光街道、国道4号を中心に住宅や商業施設が集まっていますが、市街地を抜ければのどかな水田地帯が散在。住み心地のいい都市の機能と自然が程よく調和している上に、都心へのアクセスが良いことから、東京近郊のベッドタウンとしても高い人気を誇っています。

そんなこの街は春、多くの観光客でにぎわい、街の表情が一変します。観光客がめざすのは、中川沿いのおよそ1㎞にわたって約1000本もの桜と一面の菜の花が開花する、市北部にある「権現堂桜堤」。市街のお店も桜にちなんだ期間限定の品々を提供するなど、街全体が春色に染まります。そんな桜の名所と合わせ、こちらのカフェに立ち寄ってみてはいかがでしょう。