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シンカ(進化・深化)の最前線 

東京スカイツリータウン®10周年浅草・押上エリア開発 プロジェクト

KEYWORD

PART.1

すみだのまちに定着し、
コミュニティの象徴になっているか
東京スカイツリータウン10年の節目に
未来を想う

東京スカイツリータウンは2022年5月に開業10周年を迎えた。スカイツリータウン開発プロジェクト発足間もない2006年から開発に携わってきた早野は、2015年にスカイツリータウンの担当から離れ、そして10周年を迎える前年の2021年に再び戻ってきた。コロナ禍の中、開業以来はじめて全館休業する光景を目の当たりにしたこともあり、10周年に向けて期するものがあった。

「10周年プロジェクトの発足時、東武タワースカイツリー社、東武タウンソラマチ社の若手を中心に勉強会を行い、開発当時の背景や、いま、そしてこれからスカイツリーに求められることを意見交換しました。“東京スカイツリーをつくるのではなく、東京スカイツリーのあるまちをつくる”という開発時の思想は、すみだのまち、イーストトーキョーにどう定着しているのか、東京スカイツリーはコミュニティの象徴になってきているか、東京スカイツリータウンはいま人々にどうとらえられているか…。これまでの10年、そしてこれからの10年を考えたときに、どうあるべきかをとことん話し合いました」

スカイツリータウンではこれまで、多世代に愛されるまちを目指し、盆踊りやジャズフェスティバルなど、数々のイベントを実施してきたことでファンを獲得。開業当時と比較して地元客を中心としたリピーターが増えているという実感はチームとしても持っていた。ただ、同じ成功体験を繰り返すだけで良いのか、10年の節目を祝うだけで良いのか、早野は模索し続けた。

「これまでの10年、今後の10年を考えると、スカイツリータウンだけが盛り上がるのではなく、浅草・押上エリアの魅力に多くの方が気づき、実際にまちを歩いてもらうことが大切だと感じました。今後、何十年も多くの方に愛され、発展していくためには、浅草・押上エリア全体が魅力的でなければならないというのがプロジェクトメンバーの総意です」

年間3,000万人以上が訪れる浅草エリアと東京スカイツリータウンのある押上エリアは、これまで双方が観光スポットとして独立しており、エリア間の回遊が少なかった。東武鉄道は2020年に「東京ミズマチ」を開業、また鉄道高架橋の横を歩いて渡れる「すみだリバーウォーク」を開設。新たな導線を活かし、エリア全体の活性化につなげる狙いもあった。

「自社の収益だけを追求するのでは意味がなく、エリア全体の価値を高めていきたいという想いは、“東武鉄道らしさ”の一つです。今回10周年のロゴをつくるにあたって、この想いをしっかりと表明するために、地域に支えられた東京スカイツリータウンを1と0の文字に表現し、まちを歩いてさまざまな発見をしてもらいたいという想いを込めて隠しソラカラちゃんのシルエットも入れました」

10周年のイベントは大成功に終わったが、そこに満足することなく、さらなるエリア発展に向けたチャレンジのスタートになった。

「これまで東武グループは、東京スカイツリータウンをはじめ駅を中心とした開発をしてきました。だからこそ、駅と駅をつなぐエリアに東京ミズマチをつくったことはチャレンジングですし、地域の方々に根差した場となり、回遊してもらう付加価値をいかに作っていくかが今後の課題です。下町ならではのクラフト感を体験できる、新しい価値を高めていきたいと思います」

PART.2

賑わいのある下町の日常を
新たな観光資源へ

浅草・押上エリアの活性化に欠かせなかったのが行政との連携である。2018年から2019年にかけて、墨田区は東京スカイツリータウンと浅草間の賑わい創出と回遊性向上を目的として、北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業により公園の南側の再整備を行った。この再整備事業を行うタイミングで墨田区に派遣され、隅田公園を中心とした地域の活性化を公園の利活用によって図る役割を担っていたのが福田だ。福田は2021年に派遣から戻り、民間事業者である東武鉄道の立場から再び携わっている。

「隅田公園は観光回遊路整備事業によって、大きな広場ができ人が集まる空間が生まれました。この広場に面する東京ミズマチには、公共空間と一体となって賑わいを創出するミッションが課せられました。留意したのは、ただ人を集めるのではなく、地域の方々が集い、新しい交流が生まれる場にすることです」

東京ミズマチ単体の収益を追求するのではなく、隅田公園に賑わいを生み、集う方々が滞在するためのコンテンツとして東京ミズマチがある。そして、浅草・押上間の回遊性を高めるために東京スカイツリータウンを活かす。この考えのもとエリアの活性化を図っていった。

「隅田公園の整備、東京ミズマチの開業、すみだリバーウォークの開通によって、ハード面では浅草と押上をつなぐ下地ができていました。しかし、ただつながっただけではエリアの活性化とは言えません。このエリアを訪れる方々に魅力ある場所だと感じていただくため注力したのは、地域の日常を観光資源にすることでした。海外旅行ではまちの雰囲気や人々の暮らし、文化を見る観光動向が圧倒的に多いです。一方で日本国内には、そういったエリアが少ないと感じました。だからこそ、このまちに根付いた文化と新たな交流を生む場を日常として浸透させていくことに注力したんです」

東京ミズマチは、水辺のまちであることを分かりやすく表す名称である。ミズマチのある北十間川に地域住民から親しみをもってもらうこともテーマのひとつだった。墨田区も区内を流れる河川をつなぎ水辺再生による下町文化の創生を目指しており、北十間川はそのモデルケースとしての期待もあった。水辺の再生や新しい水上アクティビティをつくることは、このエリアに足を留め、新しい交流を生むキッカケとなっていった。

「一連のプロジェクトの結果、隅田公園・北十間川周辺の賑わいの創出、地域の方が集う場として日常への定着には一定の手応えを感じています。同時にもっとやっていかなければならないという思いもあります。浅草と東京スカイツリータウンをつなぐ場所を、この場所を目的に人々が集う価値の転換を図っていかなければなりません。それぞれ連動したイベントなどを企画するなど、できることはまだまだたくさんあります」

今後、浅草・押上エリアのさらなる活性化のために「浅草駅周辺のあり方の検討」「とうきょうスカイツリー駅付近連続立体交差化事業に伴う周辺のまちづくりの推進」「隅田公園への民間活力導入への参画」など、取り組むべきことは数多くある。

「観光はいかに人を集めるかという考えが重視されがちですが、観光によって地域の方々がいかに豊かになるか、未来につながる新しい交流を生むかが大切だと思っています。当社が掲げる沿線価値の向上は、まさに地域と一体となり地域全体が活性化することで沿線定住人口が増え、当社の収益につながることだと思っています。これからも視座を高く持って取り組んでいきたいと思っています」

シンカのこれから

早野
私たちの活動によって、人が人を呼び、水辺や公園が賑わい、墨田区がいつか「住みたいまち」のスタンダードになることが目標です。今後も高架下の開発が続々と控えており、まちづくりチームの思想や観光客の動向などを反映しながら、地元の方々がより「住んでてよかった」と思える施設開発を進めていきたいです。

福田
浅草寺、東京スカイツリーという強力な観光コンテンツや再開発事業ばかりに頼るのではなく、このエリアに住む方々の「日常」がしっかりと根付き、その「日常」自体が観光のコンテンツになるような開発をすることが私の使命です。住んでいる方が自分の地域に誇りを持てるような存在に、来訪者にとっては「異日常」を感じることのできるような存在に育てていきたいと思います。

MEMBER※所属は取材当時の内容です

PROJECT

TOBU RAILWAY CO.,LTD. | POTENTIAL RECRUITING SITE