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野州平川駅周辺の踏切
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クロストーク
矢島聖蘭さん
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こよみ、くらし。
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それはさておき、コーヒーでも。
「顔見知りさん」がいる風景
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プレゼントがあたる!
プロフィール
競技かるた選手・第69期クイーン
| やじま・せいら | |
| 矢島 聖蘭 | さん |
2006年生まれ、東京都多摩市出身。慶應義塾大学1年生。小中高と数々の競技かるた大会で優勝し、全国高等学校選手権大会では個人・団体戦ともに2連覇。さらに昨年、第69期クイーン位決定戦で優勝。現在、級位は最上位のA級、段位は八段。
小倉百人一首の札を用いて行う競技かるた。
その女性日本一を決めるクイーン位決定戦で、
昨年見事優勝しクイーンの座を獲得した矢島聖蘭さん。
現在大学生の矢島さんに、
競技かるたの魅力やオフの過ごし方について伺いました。
畳の上の格闘技といわれる競技かるた
女性日本一の座に輝く矢島さんの素顔とは
かるたはスポーツ!?
実はケガも日常的
――競技かるたとはどのような競技か教えてください
小倉百人一首を使って行う頭脳スポーツです。百人一首の100枚のうち、半分の50枚を使って1対1で戦います。まず下の句の札を自陣(自分の前)に25枚、相手陣(相手の前)に25枚それぞれ並べます。読手(どくしゅ)が読む上の句を聞いて、相手陣の札を取ると自陣の札を1枚相手に送り、逆に自陣の札を相手に取られると相手から1枚札を受け取ります。そして先に自陣の札を0枚にした方が勝ちです。
百人一首といえば文系と思われている方も多いですが、「畳の上の格闘技」と呼ばれるくらい激しい競技です。手がぶつかったり切り傷を負ったりは当たり前で、骨折することもあります。
――競技かるたを始めたきっかけは?
私が小学生のころ姉が競技かるたをやっていて、大会にいやいや付いて行ったんです(笑)。でもそのときの選手たちが札を払っている姿がすごくかっこよくて。それで小学5年生の春から始めたんですが、その冬の学年大会でいきなり優勝したんです。そこで「私、かるた強いかも」って思いました。でもそれは母に「優勝したらスマホ買ってあげるよ」と言われたからというのもあるんですが(笑)。ただそのときに「1位で居続けたい、負けたくない」って思いましたね。それまでテニスとかいろいろな習い事をやらせてもらったんですが、勝てるものがなかったので、もう1位っていうのがうれしくて。
――小学生が100の歌を覚えるのは大変ではなかったですか?
五七五七七の歌を全部覚えるのはさすがに無理だったので、「決まり字」と呼ばれる、どの歌かを判断できる歌の出だしの文字があるんですが、それを面白い語呂合わせで覚えました。有名なのだと「うっかりハゲ」(笑)。「憂(う)かりける 人をはつせの 山おろし(よ)はげしかれとは 祈らぬものを」という歌があるんですけど、「うか」で始まる句で、下の句が「はげしかれ」なので、そういう語呂合わせで覚えました。
――競技中のプレッシャーや緊張感を和らげるコツは?
普段通り過ごすことを意識しています。大会では皆さん同じ土俵に立って緊張していると思うので、その上を行かないと。そのためにはいかにリラックスするかが重要だと思います。やっぱり最初の1枚目が一番緊張するんですよ。なので1枚目をどれだけ正確に取れるかを意識しています。
あとはいつも通りに友達としゃべったりすることで、普段の自分が出ていれば、それが試合にも繋がるかなと思います。だから大会の前の日でも、普段通りにぐっすり眠ります(笑)。
印象に残っている旅先は
かるたの聖地・近江神宮
――大会で行かれた場所の中で、特に印象的な場所は?
やはり滋賀県大津市の近江(おうみ)神宮ですね。かるたの聖地といわれる所ですし、ずっと憧れていた場所だったので。私がちょうどかるたを始めたころにやっていた映画の『ちはやふる』でも、近江神宮がバーンって映って「かっこいい! あの赤い門をくぐりたい」と思っていました。
それから一番上の級で初優勝した横浜大会のときに行った、夜の横浜中華街も印象に残っています。きれいにライトアップされていてすごく楽しかったんです。しかも、大会の6試合が終わった後に食べた塩分と糖分が本当に染みまして……(笑)。このときに「ずっと勝ち続けたい!」って思って、結局そのあと4連覇しました。
――普段はどんな場所へ行かれますか?
カフェにはよく行きます。最近カフェオレにハマっていて。いろんなお店でカフェオレを飲んだり、ケーキを食べたりしています。あと喫茶店のプリンも好きで、お店によって硬さが違ったりするので、食べ比べするのも楽しいです。ちなみに私は硬い派です。
あとはディズニーランドも昔から好きで、実は昨日も行ってたんです。もう何年もずっと毎日かるたをしていて、高校生のときも友達との遊びを断って週7でかるたをしていたんですね。なので今は、休みの日は思い切り遊んで、甘いもの食べて、かるたを脳みそから突き放しています(笑)。
――今後の夢や目標は?
小学生のときからずっとかるたを続けてきたので、将来はかるたに関するお仕事ができたらいいなと思っています。それともうひとつ。5回クイーンになると永世クイーンという称号がもらえるんです。せっかくクイーンになったので、5連覇を目指して頑張ります。
WEB限定! 競技かるたクイーンはストイックなアスリート
――“頭脳スポーツ”や“畳の上の格闘技”などといわれる競技かるたですが、何かトレーニングはしていますか?
より早く札が取れるよう、手首に重りを巻いて負担をかけて素振りをしています。家には畳がなくフローリングなので、床に油性マジックで札を書いて、札まで素早く一直線で行けるよう素振りをします。札を払うのをイメージして“札を払って戻って、払って戻って”を、250gの重りを手首に巻き付けて100回繰り返します。競技は片手しか使えないので、ひたすら利き手の右手を鍛えます。
ちなみに選手には左利きの方もいますが、手が出てくる位置が一緒になるのでやりづらいです。右利き同士だと手が対角線になるので怪我も少ないですが、左利きの人はお互い手が向かい合わせで出るので、ときには相手の指がグサッとくることもあります。
――試合のときに食べる勝負めしはありますか?
試合前や試合の合間はあまり食べないです。ラムネとかチョコレートをちょっとずつ食べるくらい。地方での大会のときは前日入りするんですが、夜にしか着かないように行くんですよ。昼や朝に着くと観光しちゃって疲れるし、たくさん食べちゃうので。絶対に夜遅く着くように行って“もう寝るだけ”みたいな状態にして試合に備えます。
試合はだいたい1試合2時間くらいで、1位が決まるまで最大6試合あります。朝の9時から始まって、夜の9時に終わることもあります。だから私の場合、朝は顔がむくんでまん丸って感じですが、夜の表彰式になるともうゲッソリです。
――百人一首の中で一番好きな歌は?
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」という歌です。百人一首には頭の1文字だけ聞けば取れる「一字決まり」という札が7枚あるんですが、「瀬をはやみ」はその中のひとつです。単純に自分の名前の聖蘭の「せ」だからっていう理由なんですが(笑)、競技かるたを始めた小学生のときからずっと好きです。でも高校生になって、その歌が「一度離れても、もう一度一緒になれる」というような意味だと知ると、もっと好きになりました。
実は小学生の時に一緒に競技かるたをやっていた同期の子が二人いたんですが、中学生になってそれぞれ別の中学校に行くようになったんです。それがちょうどコロナ禍だったので一緒にかるたもできず、みんなバラバラになってしまったんですね。でもそのときに「高校生になったら一緒に高校選手権大会を目指そう」ということになって、それから同じ高校に入ってお互い高め合えたんです。歌のように、一度離れたけどまた一緒にかるたができて、それでますますこの歌が好きになりました。
text:稲元孝子 photo:古本麻由未、PIXTA kimono dresser:久保田江美

