今月は東武線沿線の個性あふれる
アートプロジェクトにも注目。
まち自慢の文化発信拠点を
訪れてみませんか。

2025.7 No.913 掲載

《仲町の家》

  • 磨き込まれた縁側が美しい大広間。木造2階建てのうち1階部分と庭園を開放

  • 茶室側から母屋を望む

  • 室内には四季の草花や、ひと声かけて自由に奏でられる楽器も

  • 趣ある路地の先にある

築約100年の日本家屋×庭園×アート
千住の路地にある文化サロン

北千住駅西口の飲食街を抜けた先、仲町氷川神社前の静かな路地に「仲町の家」があります。こちらは、千住宿の重役でもあった石出掃部介吉胤(いしでかもんのすけよしたね)を祖先にもつ石出家の離れ・別邸だった場所。江戸時代末期に建てられ、関東大震災後に同じ部材で再建された日本家屋と緑豊かな日本庭園が保存されています。現在は東京藝術大学、足立区、NPO法人が主催するアートプロジェクト「アートアクセスあだち音まち千住の縁」が運営する文化サロンになっていて、音楽やアート、茶の湯など多彩なイベントを開催。催しがない日もぶらりと見学したり、藝大生などが手がける小さなアートプログラムに参加したりできるのが魅力。おやつ持参で、静かに過ごす人もいるそうです。2025年に開宿400年を迎えた千住宿。その歴史にふれながら、小さな非日常体験が楽しめますよ。

仲町の家 なかちょうのいえ
  • 03-6806-1740
  • 東京都足立区千住仲町29-1
  • 土~月曜、祝日10:00~17:00
  • 火~金曜(祝日の場合は開室)
  • 無料(イベント開催時は有料の場合あり)
  • 東武スカイツリーライン 北千住駅から徒歩10分
  • https://aaa-senju.com/p/10011
  • 【2025年7月のイベント予定】
    7月6日(日)「在釜プロジェクト」/7月28日(月)「音まち マンデー・ベイビー・コンサート」など
    詳細はHP参照

約100の国・地域の3万冊を所蔵
珍しい海外絵本の図書館

  • 海外の絵本に親しもう

  • 毎年8月には「ボローニャ・ブックフェア in いたばし 世界の絵本展」を開催

1981年に板橋区立美術館で「ボローニャ国際絵本原画展」を開催して以降、イタリア・ボローニャ市と交流を続ける東京都板橋区。印刷・製本業が盛んなこともあわせ「絵本のまち板橋」として活動・発信しています。そんな板橋区が誇る海外絵本の図書館がこちら。日本を含め約100の国と地域、80言語、3万冊の絵本とふれあえて、0歳の赤ちゃんから大人まで世代を問わず夢中になれます。

いたばしボローニャ絵本館 いたばしボローニャえほんかん
企画展

唐絵 -中国絵画と日本中世の水墨画-

2025年7月19日(土)~8月24日(日)

国宝《漁村夕照図》 牧谿筆中国・南宋時代13世紀根津美術館蔵

墨の濃淡を生かした繊細な水墨画や美しい花鳥図など、中国の「唐絵」は、日本でとくに武家の間で尊ばれ、これらを手本とした和製の唐絵も多数制作されました。こうした中国画や日本の水墨画のコレクションで知られる根津美術館で、この夏「唐絵」の展覧会が開幕。足利将軍家に伝来した中国・南宋時代の《漁村夕照図》(国宝)など、歴史的な名品でその魅力を感じてみませんか。

根津美術館 ねづびじゅつかん
  • 03-3400-2536
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 10:00~16:30(閉館17:00)
  • 月曜(祝日の場合は翌日)
  • オンライン日時指定予約 一般1300円、学生1000円、中学生以下無料
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅から徒歩8分
  • https://www.nezu-muse.or.jp/

《問いかけの本》

パロマ・バルディビア 2022年
  • パロマ・バルディビア《問いかけの本》2022年 ©Paloma Valdivia
    ●「ブラチスラバからやってきた! 世界の絵本パレード」
    開催中~2025年7月6日(日)

  • 桃山鈴子
    《へんしん すがたをかえるイモムシ》
    2021年 ©桃山鈴子

世界最大規模の絵本原画展から
受賞作がずらりと足利市立美術館へ

スロバキア共和国の首都・ブラチスラバで、2年ごとに世界最大規模の絵本原画展が開かれることをご存じでしょうか。2023年で第29回目を迎えた「ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB2023)」で、36か国・275名の作家による355冊の絵本、総計2072点の原画からグランプリに輝いた作品がこちら。日本の絵本ファンにも愛されるチリの国民的絵本作家、パロマ・バルディビアのものです。足利市立美術館で開催中の「ブラチスラバからやってきた! 世界の絵本パレード」は、そんな「BIB2023」受賞作品が一堂に会する展覧会。日本代表10組の作品や各作家の創作の背景に迫る展示も注目です。

足利市立美術館 あしかがしりつびじゅつかん
  • 0284-43-3131
  • 栃木県足利市通2-14-7
  • 10:00~17:30(閉館18:00)
  • 月曜
  • 一般710円、高校・大学生500円、中学生以下無料
  • 伊勢崎線 足利市駅から徒歩10分
  • http://www.watv.ne.jp/ashi-bi/
企画展

はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-

開催中~2025年7月6日(日)

国宝 《観普賢経》
(無量義経・観普賢経のうち、部分)
平安時代 11世紀
根津美術館蔵

東京・表参道の根津美術館で、写経と墨蹟をテーマにした企画展が開幕しました。写経は仏教の経典を書写したもの、墨蹟は禅の心得を書いた禅僧の書。一見難しそうなふたつのジャンルの作品を、本展ではまずその造形的な違いを楽しんでもらおうと展示室を二分して配置。書としての見どころや歴史的重要性などもわかりやすく解説されていて、古美術鑑賞の新たな扉を開いてくれそうです。

根津美術館 ねづびじゅつかん
  • 03-3400-2536
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 10:00~16:30(閉館17:00)
  • 月曜
  • オンライン日時指定予約 一般1300円、学生1000円、中学生以下無料
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅から徒歩8分
  • https://www.nezu-muse.or.jp/

《クロティルド&アレクサンドル・サカロフ》

ジョルジュ・バルビエ 1921年
  • 《幼きイエスの小さなテレーズの物語》アレクサンドル・チェレプニン(作曲)、アンドレ・エレ(絵)1926年

  • 《『フイエ・ダール』第1号》1921年

  • 《クロティルド&アレクサンドル・サカロフ》*

全て鹿島茂コレクション(*練馬区立美術館寄託)
©NOEMA Inc. Japan

1920年代、アール・デコが花開いたパリ──
時代を先駆けたトップアーティストの名作

第一次世界大戦からの復興で工業化が進んだ1920年代。変容する社会の最先端で生まれた装飾様式、アール・デコがパリを中心に世界的に流行しました。現在、そんな20世紀前半フランスのグラフィックに着目した大規模な展覧会「鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展」が群馬県立館林美術館で開催中。なかでも、当時のパリを代表するアーティスト、ジョルジュ・バルビエがロシア人舞踊家夫妻を描いた本作は、鮮やかで平面的な色彩、優美な曲線などまさにアール・デコを象徴するような美しさ。近年収蔵の新出品作品まで、フランス・モダンの世界に浸ってみませんか。

群馬県立館林美術館 ぐんまけんりつたてばやしびじゅつかん
  • 0276-72-8188
  • 群馬県館林市日向町2003
  • 9:30〜16:30(閉館17:00)
  • 月曜
  • 一般830円、大学・高校生410円、中学生以下無料
  • 伊勢崎線 館林駅から多々良巡回線バス、県立館林美術館前下車すぐ
  • https://gmat.pref.gunma.jp/exhibition/

ミロ展

開催中〜7月6日(日)
  • 《明けの明星》 1940年
    ジュアン・ミロ財団、バルセロナ

    Fundació Joan Miró, Barcelona.
    Gift of Pilar Juncosa de Miró.
    © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 E5746

20世紀を代表する巨匠、ジュアン・ミロ。1893年にスペインのカタルーニャ地方に生まれ、90歳で亡くなるまで新たな表現技法を追求しつづけました。その偉大な創作活動を振り返る、空前の規模の大回顧展が開幕。代表作である<星座>シリーズのうち3点が出品されるほか、各時代を代表する名品が世界中から集結します。20世紀美術を牽引し、現在までアートシーンに大きな影響を与えるミロの芸術の軌跡を体感してみませんか。

東京都美術館 とうきょうとびじゅつかん
  • 050-5541-8600
  • 東京都台東区上野公園8-36
  • 9:30~17:00(金曜は~19:30、閉館は各30分後)
  • 月曜(祝日の場合は翌平日)
  • 一般2300円、大学・専門学校生1300円、65歳以上1600円、高校生以下無料
  • JR上野駅から徒歩7分
  • https://miro2025.exhibit.jp/

text : Fumiko Sato photo : Taku Tanji、Fumiko Sato、関係各施設