暑さが一段落してきたら電車にのってアートめぐりはいかが。
今月話題の展覧会やアートイベントを紹介します。

2025.9 No.915 掲載

《喫水線2024-15》

菊地武彦 2024年
  • 《喫水線 2024-15》 水彩、岩絵具・紙
    オトギリソウ由来のガンボージ、カイガラムシ由来のコチニールなど伝統色素の鮮やかな色にも注目

  • 各年代の大型作品30点を中心に全45作品を展示

画家初となる大規模個展が開催中
アートファン必見の展覧会へ

伸びやかな放物線、透明感ある鮮やかな色彩。見る者を引き込むような本作は「線を引くこと」をテーマに創作活動を行う画家、菊地武彦の作品。多摩美術大学での研究・後進指導でも知られる氏が活動拠点としているのが栃木県足利市。今回、その足利で画家初となる美術館での大規模個展が開催され、話題を集めています。2020年代に入って始まった《喫水線》シリーズのひとつであるこちらは、大型作品として本展のために新たに描いたもの。会場では初期から最新作まで、氏の表現の全貌に迫ることができます。会期中はワークショップなど多彩なイベントも開かれていますよ。

足利市立美術館 あしかがしりつびじゅつかん
  • 0284-43-3131
  • 栃木県足利市通2-14-7
  • 10:00~17:30(閉館18:00)
  • 月曜(9月15日は開館)、9月16・24日
  • 一般1000円、高校・大学生800円、中学生以下無料
  • 伊勢崎線 足利市駅から徒歩10分
  • http://www.watv.ne.jp/ashi-bi/
  • ●「菊地武彦 アナムネーシス —想起する景—」
    開催中~ 2025年10月13日(月・祝)

六本木アートナイト2025

2025年9月26日(金)~28日(日)

カン・ジェウォン《Exo2_crop_xl》
六本木ヒルズアリーナに登場するインスタレーション

東京を代表するアートの祭典が今年も開催。こちらは美術館などの文化施設、大型複合施設、商店街など六本木の街全体を舞台にインスタレーションやパフォーマンス、音楽、映像、デジタル作品などの多彩なプログラムが展開されるもの。14回目を迎える今年は約30組のアーティストによる50以上のプログラムが予定されています。夜の六本木さんぽを兼ねて現代アートに親しんでみては。

六本木アートナイト2025 ろっぽんぎアートナイトにせんにじゅうご
  • ハローダイヤル050-5541-8600(六本木アートナイト実行委員会、9:00~20:00)
  • 六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街など
  • 9/26~28(日によって異なる)
  • 無料(一部プログラム・美術館企画展は有料)
  • 施設により異なる
  • https://www.roppongiartnight.com/2025/
企画展

焼き締め陶 -土を感じる-

2025年9月13日(土)~10月19日(日)

信楽茶碗 銘 水のこ 信楽 日本・桃山~江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

釉薬(ゆうやく)をかけずに高温で焼くことで素地を固めた素朴な焼き物が「焼き締め陶」です。日本では、中世以降とくに茶の湯の世界で愛でられてきました。本展では中国、東南アジア産の「南蛮物」、信楽や備前、伊賀などの国産の焼き締め陶、さらに近代に新たに賞玩されるようになった中世の壺や甕(かめ)など、産地ごとの特徴にも着目しながら日本独特の美意識による枯淡の世界を紹介します。

根津美術館 ねづびじゅつかん
  • 03-3400-2536
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 10:00~16:30(閉館17:00)
  • 月曜(9月15日は開館)、9月16日
  • オンライン日時指定予約 一般1300円、学生1000円、中学生以下無料
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅から徒歩8分
  • https://www.nezu-muse.or.jp/

text : Fumiko Sato photo : 関係各施設