風薫る5月のアートさんぽ。
みずみずしい感性で時代を駆け抜けた、
東西の革新的アートに注目してみましょう。

2025.5 No.911 掲載

《クロティルド&アレクサンドル・サカロフ》

ジョルジュ・バルビエ 1921年
  • 《幼きイエスの小さなテレーズの物語》アレクサンドル・チェレプニン(作曲)、アンドレ・エレ(絵)1926年

  • 《『フイエ・ダール』第1号》1921年

  • 《クロティルド&アレクサンドル・サカロフ》*

全て鹿島茂コレクション(*練馬区立美術館寄託)
©NOEMA Inc. Japan

1920年代、アール・デコが花開いたパリ──
時代を先駆けたトップアーティストの名作

第一次世界大戦からの復興で工業化が進んだ1920年代。変容する社会の最先端で生まれた装飾様式、アール・デコがパリを中心に世界的に流行しました。現在、そんな20世紀前半フランスのグラフィックに着目した大規模な展覧会「鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展」が群馬県立館林美術館で開催中。なかでも、当時のパリを代表するアーティスト、ジョルジュ・バルビエがロシア人舞踊家夫妻を描いた本作は、鮮やかで平面的な色彩、優美な曲線などまさにアール・デコを象徴するような美しさ。近年収蔵の新出品作品まで、フランス・モダンの世界に浸ってみませんか。

群馬県立館林美術館 ぐんまけんりつたてばやしびじゅつかん
  • 0276-72-8188
  • 群馬県館林市日向町2003
  • 9:30〜16:30(閉館17:00)
  • 月曜(5月5日は開館)、5月7日
  • 一般830円、大学・高校生410円、中学生以下無料
  • 伊勢崎線 館林駅から多々良巡回線バス、県立館林美術館前下車すぐ
  • https://gmat.pref.gunma.jp/exhibition/

●「鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展」開催中~2025年6月29日(日)

財団創立85周年記念特別展

国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図
-光琳・応挙・其一をめぐる3章-

開催中~2025年5月11日(日)

国宝《燕子花図屏風》 尾形光琳筆
日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

根津美術館が所蔵する国宝・重要文化財100件のうち、日本近世の絵画は尾形光琳の国宝《燕子花図屏風》と、円山応挙《藤花図屏風》、鈴木其一《夏秋渓流図屏風》の2件の重要文化財のみ。本展では、制作年代や場所を違えながら相互に画風的なつながりをもつこの3件を中心に、各々の魅力を高める作品を紹介。ゴールデンウィークに見ごろを迎える庭園のカキツバタも見どころです。

根津美術館 ねづびじゅつかん
  • 03-3400-2536
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 10:00~16:30(5月5・6、8~11日は~18:30、閉館は各30分後)
  • 5月7日(展示替えのため5月12~30日は休館)
  • オンライン日時指定予約 一般1500円、学生1200円
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅から徒歩8分
  • https://www.nezu-muse.or.jp/
特別展

蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児

開催中〜2025年6月15日(日)

《婦女人相十品 ポッピンを吹く娘》
喜多川歌麿 寛政4-5(1792-93)年頃 東京国立博物館蔵
前期(~5/18)展示

現在放送中の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)で話題の“蔦重”こと蔦屋重三郎。喜多川歌麿、東洲斎写楽など、名だたる浮世絵師を世に出したことで知られる江戸時代の出版業者です。本展は、東京国立博物館の所蔵品を中心に彼の革新的な出版活動をつぶさに紹介する特別展。大河ドラマとも連携し、江戸時代後期の江戸の街の様相や多彩な文化も体感できます。観覧後はドラマの舞台である台東区でゆかりの地めぐりを楽しむのもおすすめ。

東京国立博物館 平成館 とうきょうこくりつはくぶつかんへいせいかん
  • 050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 東京都台東区上野公園13-9
  • 9:30~16:30(金・土曜、5月4・5日は~19:30、閉館は各30分後)
  • 月曜(5月5日は開館)、5月7日
  • 一般2100円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下無料
  • JR上野駅公園口から徒歩10分
  • https://tsutaju2025.jp/

タピオ・ヴィルカラ 世界の果て

開催中〜6月15日(日)

《ボッレ》 1967 年、ガラス
Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA - Espoo Museum of Modern Art.
© Ari Karttunen / EMMA ©KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2024 C4780

北欧モダンデザインの巨匠として世界的に知られるタピオ・ヴィルカラ(1915~1985)。その日本初となる大規模個展が開幕します。1940年代後半から50年代にかけてイッタラ社のデザインコンペ優勝、ミラノトリエンナーレへの3度の入賞などで脚光を浴びたヴィルカラ。デザイナー、彫刻家、造形作家として多彩な創作活動を展開しました。エスポー近代美術館の協力で行われる本展では、プロダクト、ガラスや木による彫刻、写真など約300点が見学できます。

東京ステーションギャラリー とうきょうステーションギャラリー
  • 03-3212-2485
  • 東京都千代田区丸の内1-9-1
  • 10:00~17:30(金曜は~19:30、閉館は各30分後)
  • 月曜(5月5日、6月9日は開館)
  • 一般1500円、高校・大学生1300円、中学生以下無料
  • JR東京駅(丸の内北口改札)からすぐ
  • https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202504_tapio.html

ミロ展

開催中〜7月6日(日)
  • 《明けの明星》 1940年
    ジュアン・ミロ財団、バルセロナ

    Fundació Joan Miró, Barcelona.
    Gift of Pilar Juncosa de Miró.
    © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 E5746

20世紀を代表する巨匠、ジュアン・ミロ。1893年にスペインのカタルーニャ地方に生まれ、90歳で亡くなるまで新たな表現技法を追求しつづけました。その偉大な創作活動を振り返る、空前の規模の大回顧展が開幕。代表作である<星座>シリーズのうち3点が出品されるほか、各時代を代表する名品が世界中から集結します。20世紀美術を牽引し、現在までアートシーンに大きな影響を与えるミロの芸術の軌跡を体感してみませんか。

東京都美術館 とうきょうとびじゅつかん
  • 050-5541-8600
  • 東京都台東区上野公園8-36
  • 9:30~17:00(金曜は~19:30、閉館は各30分後)
  • 月曜(祝日の場合は翌平日)
  • 一般2300円、大学・専門学校生1300円、65歳以上1600円、高校生以下無料
  • JR上野駅から徒歩7分
  • https://miro2025.exhibit.jp/

text : Fumiko Sato photo : Kota Yamashita、関係各施設