忙中閑あり。街も人もどこかせわしない歳末、
注目の美術展で癒やしのひとときを過ごしてみませんか。

2025.12 No.918 掲載

《原倫太郎+原游 バベルが見る夢》

開催中~2026年1月18日(日)
  • ©Daichi Ano

    建築家・平田晃久の設計で2017年に開館した複合施設。美術館で開かれる本展では遊びをテーマにした作品で知られる原倫太郎+原游とのコラボレーションを展開

  • 原倫太郎+原游《影の迷路》 2022年 撮影:中川達彦

  • 原倫太郎《真夏の雪玉》 2015年 撮影:中川達彦

「バベルの塔」に思いをはせて
太田でユニークな現代アート展が開催

『旧約聖書』の『創世記』に登場し、ピーテル・ブリューゲルの絵画でも知られる「バベルの塔」。そんな伝説的建造物に着想を得たユニークな展覧会が群馬県で開かれています。手がけたのはアーティストユニットの原倫太郎+原游(ゆう)。「きっかけは、二人がらせん構造を持つ当館の建築に着目し、バベルの塔に見立てたこと。内部構造に思いをめぐらせ、昼と夜の“夢”をテーマに動きをともなうインスタレーションを展開します」と学芸員の矢ヶ﨑結花さん。「バベルの塔の物語には終わりと始まりの両方の意味があると考えられますが、それは創造活動も同じ。遊び心に富んだアートで非日常を感じてみてください」。

太田市美術館・図書館 おおたしびじゅつかん・としょかん
オルセー美術館所蔵

印象派―室内をめぐる物語

開催中~2026年2月15日(日)

屋外の光をとらえた作品で知られる印象派絵画ですが、実は室内を舞台にした作品も好んで描かれました。こちらは、そんな印象派の“もうひとつの魅力”である「室内」をテーマにした展覧会。パリ・オルセー美術館のコレクションから、マネ、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌなどの傑作約70点が来日。この規模での来日はおよそ10年ぶりとなるほか、ドガの《家族の肖像(ベレッリ家)》の日本初公開でも話題を集めています。冬の一日、印象派の魅力を再発見する体験を。

国立西洋美術館 こくりつせいようびじゅつかん
  • 050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 東京都台東区上野公園7-7
  • 9:30~17:00(金・土曜は~19:30、閉館は各30分後)
  • 月曜(1月12日、2月9日は開館)、12月28日~1月1日・13日
  • 当日券一般2300円、大学生1400円、高校生1000円、中学生以下無料
  • JR上野駅公園口からすぐ、または東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩8分
  • https://www.orsay2025.jp/
在原業平生誕1200年記念 特別展

伊勢物語-美術が映す王朝の恋とうた-

開催中~12月7日(日)

在原業平像 室町時代 16世紀 根津美術館蔵

平安時代前期に活躍した在原業平の和歌を中心とする短編物語集『伊勢物語』。『源氏物語』と並び、日本の文化・芸術のあらゆる分野に多大な影響を与えてきました。業平の生誕1200年にあたる本年、『伊勢物語』が生み出した書、絵画、工芸を一堂に集める展覧会が開幕します。『伊勢物語』の核心をなす和歌を味わいながら、『伊勢物語』の造形化における和歌の働きにも注目。平安王朝の美しい恋とうたの世界に浸ってみませんか。

根津美術館 ねづびじゅつかん
  • 03-3400-2536
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 10:00~16:30(閉館17:00)
  • 月曜(会期終了後は12月8~19・27~1月5日休館)
  • オンライン日時指定予約一般1500円、学生1200円、中学生以下無料
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅から徒歩8分
  • https://www.nezu-muse.or.jp/

CREVIAマチュピチュ展

開催中~2026年3月1日(日)

アンデス山脈の標高約2280mの断崖に建てられたインカ帝国の遺跡、マチュピチュ。今月、国内13年ぶりとなる「CREVIAマチュピチュ展」が東京・六本木でスタートします。本展は2021 年のアメリカ・ボカラトン美術館を皮切りに世界各地で高い評価を得ている巡回展。そのアジア初開催として日本に上陸するもの。ペルーの考古学博物館・ラルコ博物館から貸与された、国外初公開を含む貴重な文化財約130点が展示されるほか、世界遺産マチュピチュを最新技術で再現した没入型空間も出現。謎多き天空都市・マチュピチュと古代アンデス文明を圧倒的な演出とともに体感できますよ。

森アーツセンターギャラリー もりあーつせんたーぎゃらりー
  • 未定
  • 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
  • 10:00~18:00(金・土曜、祝前日は~19:00、12/29~1/4は~18:00、閉館は各1時間後)
  • 無休
  • 当日券・平日一般2800円(予定)
  • 東京メトロ日比谷線 六本木駅直結
  • https://machupicchuneon.jp/

text : Fumiko Sato photo : 関係各施設