
プロフィール
すみよし・さやか
住吉 さやか さん
インテリアコーディネーター兼アートライフスタイリスト。グラフィックデザイナーを経てリフォーム雑誌編集部での業務を経験後、住宅メーカーに勤務。その後、独立し個人邸のトータルコーディネートを行っている。Best of Houzzサービス賞を6年連続受賞中。
居心地がよく、温もりある室内とは―。
住む人のライフスタイルに寄り添い最適なインテリアを提案する住吉さんに、空間づくりの極意とともに、「おでかけ」がお仕事にどう活かされているかを伺いました。
おでかけ先でのことは写真で記録し、頭に記憶して、インテリアの参考に―
快適で心地いい暮らしは
インテリアから始まる

─インテリアに興味を持つようになったきっかけは?
転校することが多かった子どもの頃、自宅は「いつでも安心してくつろげる唯一の場所」でした。この経験があって、建築物や内装に興味を持つようになり、思い返せば子どものときから模様替えをするのが好きになっていました。
勤務先を変えてリフォームの世界に入ったとき、ふと気づいたことがあったのです。すてきな空間かどうかは、間取りや構造ではなく、インテリアに大きく左右されるのだと。ちょうどそのタイミングで自宅のソファを探していたのですが、なかなか気に入った商品に出合えず……。そして、同じように困っている方が多いのではと思い、インテリアコーディネートの勉強を始めました。
─個人邸のコーディネートをされるときに心がけていることは?
見た目をおしゃれにするだけではなく、それぞれの方の暮らしに最適なインテリアを提案することです。お客様の好みはもちろんのこと、どういった暮らしぶりなのかを細かく、深くお聞きすることで、居心地がよく使い勝手もよい空間になるのです。
─こちらのご自宅もすてきですね!!
自宅も使い勝手にこだわりました。このダイニングテーブルで仕事をしていたので、座ったままで手の届くすぐ脇に仕事道具などを収める棚を設けました(上写真の右奥)。細かな用具も多いため、用途ごとに分けて収納できる細かな引き出しも設置。このように、この場所では何をするのかをしっかりと把握できれば、ぴったりの家具が提案できるのです。テレビの前にはソファを置く、食事用のダイニングテーブルも必要など、なぜか持ってしまっていた固定観念を捨ててみると、皆様もいいインテリア選びができるかもしれません。
─インテリアを選ぶ際に意識していることは?
私が重要視しているものは、照明です。最近はダイニングテーブルの上にペンダントライトを下げる方が増えましたが、照明の高さが大切。できるだけ低くすることをおすすめします。私の家は、テーブルから照明まで60㎝。一般のご家庭では、70㎝程度がよいかもしれません。低くすると、テーブル面が明るくなるとともに、目に直接明かりが入らないので、まぶしく感じません。
さらに、光の色を変えられる調色のLEDライトもおすすめです。リラックスする夜にはオレンジ系、在宅ワークや子どもが遊ぶ際は白系にするなど、明かりの色と体への影響のバランスをとることができます。
また、季節感を取り入れるのも、居心地のいい空間をつくり上げることにつながります。カーテンを季節ごとに変えるなど、大きくデザインを変えるのはお金もかかってたいへんですが、クッションカバーを秋冬の素材などに変えるだけでも、温もりをプラスできます。

ご自宅のクッションカバーは、温かみのある素材に変えて冬仕様になっていました
アート作品を飾って
空間に個性をプラス

─アート作品を飾る重要性を広めている理由は?
きちんと作り手の作家さんがいるアート作品のある暮らしは、心を豊かにしてくれると考えています。ライフスタイルに合わせたインテリアだけを追求すると、似た空間になってしまいますが、室内に個性が出てくるのです。
アートにあまり興味のない方でしたら、各地で開催されているアートフェアにおでかけして、いろいろな作品を鑑賞して見る目を養い、好みを絞っていくのはいかがでしょう。家族全員でたくさんの作品を見て、気に入った作品について話し合うなんてすばらしい過ごし方ですよね。
おでかけ場所は趣味と
実益を兼ね備えた美術館
─普段、どのような場所におでかけされますか?
私にとって大切な場所は美術館。出先の近くにあれば、できるだけ立ち寄るようにしています。アートライフスタイリストを育てる講師でもあるので、アートを見る目を養う目的もありますが、美術館のすばらしい建築デザインを見るのも楽しみなのです。デザイン性のあるホテルの空間もインテリアの参考になりますので、意識して選ぶようにしています。
建築物好きとしては、東武ワールドスクウェアも大好きな場所。世界的建造物が一面に広がっていて、多彩な建築物の空間デザインがインテリアのヒントになります。そう、おでかけした先々でのことはすべて、インテリアという仕事に直結している気がします。

東武ワールドスクウェアは、建築物を見るのがお好きな住吉さんのお気に入りのスポット
text:Taku Tanji photo:Mayumi Komoto