2026.3 No.921 掲載

プロフィール

イラストレーター/漫画家

そらはな・こより
宙花 こより さん

長野県上田市出身。専門学校卒業後にイラストレーターとして活動を始め、アニメ雑誌などで活躍。自身の体験をコミカルに描いた片づけ術・収納術に関する漫画作品のファンも多い。専門学校や高校で講師として後進指導にあたるなど、多方面で活躍中。

東武鉄道お客さまセンターの公式キャラクター
「姫宮なな」をご存じでしょうか?
そのデザインを手がけているのが宙花こよりさん。
今回は、キャラクターに込めた思いや、
日ごろの創作活動について聞きました。

まだ世の中にない「かわいいもの」を
アウトプットしていく瞬間が好き

小学校に上がる前から
漫画好きだった少女時代

――イラストや漫画を描くようになったきっかけは?

父が読書家で、家には多数の本に加えて多くの漫画がありました。私はそれらを眺めているのが大好きで、保育園時代にはすでに歴史漫画や『ドラえもん』、『ドラゴンボール』などの作品を見ていて。見るだけでなく描くのも好きだったようで、保育園で「あの子はずっと絵を描いている」と言われた子どもだったそうです(笑)。

小学校高学年から中学生になるころには漫画を描き始めまして、そのころ「将来は漫画家になりたい」と思いましたね。ただ、自分の場合は「こういう漫画が描きたい!」というよりは、とにかく絵を描く仕事がしたいという気持ちが強かったように思います。

――イラストを描くのが好き?

漫画というのはまずストーリーを考えて、さらに登場するキャラクターをひとつひとつ生み出していくものですよね。私はそうした創作以前に、もともとかわいいものが大好きなんです。文具、洋服、持ち物などなど次元を問わず……これはアラフィフになった今も変わりませんね(笑)。その一環として、かわいい女の子を描くことが大好きというのがありました。

さらに、無の状態よりも、オーダーがあるほうがやりがいを感じるタイプでもあるんです。人が見たがっているもの、でも今はまだここにないかわいいものを生み出すのが楽しいといいますか。自分の手を動かして、頭の中に湧き出るイメージをアウトプットしていく瞬間に喜びを感じます。そうしたことの延長線上で、この仕事を続けているように思います。

東武鉄道の「姫宮なな」が
17年ぶりにリニューアル

――どんなキャラクターですか?

鉄道会社のお客さまセンターというのは、列車情報のご案内から落とし物の問い合わせまで、電車を利用する方に寄り添うセクションですよね。そのキャラクターですから、かわいいだけでなく、いざというときに頼れそうな、困ったときに助けてくれそうな雰囲気を目指しました。デザインにあたり、やさしいイメージなどのアイデアや、実在する女性社員の写真も見せていただきました。制服は完全に私のオリジナルです。

東武鉄道お客さまセンターコミュニケーター 姫宮なな
©東武鉄道お客さまセンター イラスト/宙花こより

――リニューアルのポイントは?

永遠の23歳なのは変わらないのですが(笑)、やはり現代らしく、令和の「ななさん」に生まれ変わらせました。イラストのキャラクターは年を取らないようでいて、実はものすごく明確に時代を映しているものなんですよね。昔の漫画やアニメを見たときに、何となく「古い作品だな」って感じることがありますよね? それと同じで、イラストの絵柄にもはやり廃りがあります。今回は例えば目の描き方や全体的な色の鮮やかさなどをブラッシュアップしました。

――「姫宮なな」をきっかけに変化したものはありますか?

このキャラクターが最初に生まれたのが2008年。その少し前に美少女キャラクターを核とするいわゆる「萌えキャラ」のブームがあり、それが一般の企業などに浸透していく「はしり」の時期だったと記憶しています。「東武鉄道の姫宮なな」のインパクトは強かったようで、私のところにもパブリックキャラクター作成の依頼が増えました。その後はみなさまもご存じのように、社会情勢の変化を受けながら地域や社会にさまざまなキャラクターが生まれています。今また新たに動きだしている「ななさん」に感謝するとともに、その活躍に期待しています。

「推し」作品をきっかけに
旅やおでかけを楽しむ

――最近の「推し」作品は?

ここ数年、歴史上の人物のプライベートな姿を通してその生涯をたどる『偉人たちの恋文物語』という作品づくりに参加しています。もともと歴史ものにはそれほど強い思い入れはなかったのですが、この作品をきっかけにいろいろ読んだり調べたりしているうちに、すっかり歴史にハマりまして。例えば最近の漫画作品なら、鎌倉時代から室町時代を舞台にした『逃げ上手の若君』という漫画に注目しています。

――作品の舞台を訪ねたりも?

そうなんです! 歴史に興味をもったことをきっかけに、作品の背景や舞台になった土地を訪れるという楽しみが増えました。最近では神奈川県の鎌倉、栃木県の足利、長野県の諏訪など、自分でも驚くほどあちこちでかけるようになって。今年は夏に大阪や京都など関西方面にも足をのばしたいと、今から計画を立てています。

各地にでかけるようになってみると、旅先でさまざまな人に出会ったり、おいしいものを見つけたりすることにもよい影響を受け、刺激にもなっていますね。私は無類のプリン好きでもありまして(笑)。各地のおいしいプリンの店を訪ね歩くこともライフワークになっています。

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――好きな食べ物は「プリン」なんですね。

はい。それもちょっと昔風の、固めに仕上げたプリンが好きですね。食感はぷるぷるでいながら、くちどけはなめらかなものほどときめきます。固めプリンへの偏愛の強さが高じて、「固めプリン過激派」を自称しています(笑)。

――「過激派」になってしまう背景があるのでしょうか(笑)?

プリン好きなら共感いただけると思うのですが、ここ数年、市場のプリンは「やわらかさ、なめらかさ」に特化したものが増えていますよね。そんななか、自分は卵の味がしっかりと強く、生地はぷるぷると固め、そんなプリンを追い求めています。

――「固めプリン」でお気に入りの店はありますか?

個人的には、鎌倉・小町どおりの「イワタコーヒー店」がベストだと思います! 鎌倉で長く愛されている喫茶店がつくる、全卵と牛乳を使った蒸し焼きタイプの昔なつかしいプリン。いつ食べてもおいしい、永遠の名作だと思います。

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text:Fumiko Sato photo:Mayumi Komoto