

傘についてもっと知れば
雨の日も楽しくなる
もうすぐ梅雨。傘が活躍する時期ですね。でも実は傘はもともと雨傘としてではなく、古くから権威の象徴として用いられていました。その後は上流階級の女性が使う日傘として発展。雨傘は18世紀中頃、ロンドンの紳士が雨よけに日傘を差したのがはじまりとされています。
一方、日本では古くから蓑笠で雨をしのいでいました。和傘が作られたのは江戸時代に入ってから。生地や金属の骨を用いた洋傘とは違い、和傘は竹などの骨に和紙(油紙)を貼って作ります。日本で洋傘が使われるようになったのは明治時代。しかし昔は、日本でも世界でも傘は高貴な人たちのもので、身分の低い人々の使用は許されなかったようです。でも今は誰もが自由に傘が差せる時代。お気に入りの傘を差して、晴れやかな気分で出かけましょう。
男性用と女性用の違い

ネームひもが2本あるのは女性用
濡れた傘を閉じるときは傘を密閉しないよう「口(くち)ネーム」だけを使い、しまうときは「胴ネーム」でまとめます。男性用は口ネームがなく、代わりに玉留めという金具が付いています。
長傘の傘袋があるのは男性用
雨傘が誕生した当時、傘は紳士たちにとってトレンドアイテムでした。そのため使わないときはカバーをかけて大切に扱い、晴れた日もステッキ感覚で持ち歩いていました。その名残で今でも男性用の長傘には傘袋が使われています。
お役立ち情報

折り畳み傘を簡単に畳む裏技
傘をすぼめたら手元を持たず、下ろくろを持って左右にくるくると振り回すと、折り目がきれいにそろってまとめやすくなります。

照明はNG
保管は納戸や押し入れに
室内のライトの光でも、色あせや撥水効果の劣化が生じます。照明が当たる部屋での保管や、日が当たる玄関先に放置するのもNG。屋内の収納スペースで保管しましょう。

外干しはNG
日光は色あせだけでなく、防水効果の低下の原因にも。傘の水気をしっかり取ってから、室内で広げて干しましょう。
ようがさ | まえはらこうえいしょうてん | あさくさみすじまちてん | |||
トンボ | 洋傘 | 前原光榮商店 | 浅草三筋町店 |
昭和23(1948)年創業の高級洋傘専門店。現在日本では洋傘の99%が中国などの外国製ですが、ここでは日本製にこだわり、職人による手仕事で一本一本丁寧に自社製品を作っています。生地にはプリント地は使わず、糸から染色する先染め生地を使用しているので発色も抜群。裁断や縫製にもとことんこだわり、美しいフォルムと丈夫な製品に仕上げています。

- 03-3863-4617
- 東京都台東区三筋2-14-5
- 10:00~17:00(水・金曜は~19:00)
- 日曜
- 都営大江戸線・つくばエクスプレス新御徒町駅から徒歩5分
- https://maehara.co.jp

ショップの上の工房では、熟練した職人たちによって傘が作られている。

海外製よりも細い針と糸を使って細かい縫い幅で縫製し、水漏れしない傘に。

大量生産品は多量の生地を重ねて切るため、微妙な誤差で傘の張りが不ぞろいになるが、ここでは少量の4枚重ねで裁断。
text : 稲元孝子 photo : 古本麻由未 illustration : ラニー・イナモト