若葉編

2025.6 No.912 掲載

美しい緑地や公園が多い若葉エリア。富士見緑地(D)に隣接する千代田公園からは、木々の向こうに整然と並ぶ団地群が見えます

初夏の沿線さんぽは、その名のとおり緑豊かな若葉駅へ。
旬のフルーツや台湾式お宮、雨でも楽しめる工場見学など、個性あふれる体験が楽しめます。

(写真左)明治なるほどファクトリー坂戸(C)では、なつかしいカールおじさんの像が出迎えてくれますよ
(写真右上)若葉駅東口から続くメインストリートの若葉台通り。駅前にショッピングモール、その先にカフェやレストランなどが並びます
(写真右下)美しいファサードが印象的な若葉駅西口。西口の開業は平成16(2004)年

飛行場があった美しい街を
のんびりと歩いて

東上線の川越駅から北へ4駅。埼玉県坂戸市と鶴ヶ島市の境にあるのが若葉駅です。駅前にはショッピングやグルメで人気の「WAKABA WALK」(ワカバウォーク)があり、日々多くの人でにぎわっています。

若葉駅が開業したのは昭和54(1979)年のこと。両隣の坂戸駅と鶴ケ島駅は大正~昭和初期の開業ですから、ここは歴史ある2駅間に後からできた比較的新しい駅になります。地元で代々続く農家に生まれ、現在はブルーベリーを栽培する「マサキファーム」の正木さんにこの街の今昔について聞いてみました。

「若葉駅の東側一帯は、戦前に陸軍坂戸飛行場があった場所なんですよ。戦後の食糧増産で再び農地になっていたそうですが、昭和40年代以降に住宅団地や工業団地が造成され、若葉駅もできて。ずいぶんとにぎやかになりましたね」

言われてみると、駅を背にまっすぐ伸びる「若葉台通り」は直線的な風景がどこか滑走路のよう。商業エリア、住宅エリア、工場エリアと規則的に広がる街並みに公園や緑道の緑がさわやかです。

今回は、工業団地のさらに先、今なお農地が点在するのどかなエリアからさんぽをスタート。まずは「マサキファーム」(A)で6月に旬を迎えるこだわりのブルーベリー狩りを体験してみましょう。

「この畑のすぐ先の雑木林には、オオタカが生息しているんですよ。古くからの自然を守るための取り組みのかいもあってか朝や夕方にちょくちょく姿を見せてくれます」

(写真上、中央)40品種・700本ほどのブルーベリーを栽培するマサキファーム。その日おすすめの数種が食べ比べできるほか、カフェでは自家製のブルーベリースムージーも人気です
(イラスト左)白いトウモロコシのもぎ取り体験も実施。生のまま食べられるおいしさ

近くで目を引くカラフルで巨大な建造物は、台湾の伝統宗教・道教のお宮「五千頭の龍が昇る聖天宮」(B)。写真映えするうえ、台湾式の開運祈願ができると観光バスもくるほどの人気スポットです。

(写真中央)台湾生まれの康國典大法師が台湾から石材や宮大工を集め、昭和56(1981)年から15年かけて完成させた日本最大級の道教のお宮
(写真右上)石の一本柱や天井の彫刻も見もの
(写真左、イラスト)聖籤(おみくじ)や参拝で本格的な台湾体験を

おなじみのチョコレート菓子を製造する「明治なるほどファクトリー坂戸」(C)の工場見学も、この街ならではの楽しみでしょう。

昭和54(1979)年開設の工場。約3万坪の敷地で明治ミルクチョコレートやアポロなどを製造。要予約で体験できる工場見学は大人世代にも人気です
(写真右上)「アポロ」の製造ラインを見学できる通路は月面・宇宙探検ツアーの世界観を演出
(写真右下)板チョコの中に入るような通路からチョコレートの製造ラインを間近で見学

昭和期の都市開発から約60年。街を歩けば「富士見緑地」(D)などの自然も美しい若葉エリア。めぐる季節を感じながら、個性あふれる体験を楽しんでみてください。

川越市、鶴ヶ島市、坂戸市の3市にわたって続いている富士見緑地
(写真右)西側の遊歩道。東側は自然のままの森となっていて、カシやケヤキなど大きな木々の下をゆったり歩けます
(写真左)中央部は広い歩道と車道になっています

今回訪れたのはこちら

マサキファーム

  • 090-7821-6456
  • 埼玉県坂戸市戸宮623-1
  • 9:00~16:00(体験は要予約)
  • 6月上旬~8月開園、期間中月・火・金曜休
  • ブルーベリー食べ放題40分大人1700円、4歳~小学生1200円(時期により異なる)、3歳以下無料
  • 若葉駅から東武バス、戸宮下車、徒歩5分

五千頭の龍が昇る聖天宮

ごせんとうのりゅうがのぼるせいてんきゅう

  • 049-281-1161
  • 埼玉県坂戸市塚越51-1
  • 10:00~16:00
  • 無休
  • 拝観料大人500円、中学生250円、小学生以下無料
  • 若葉駅から東武バス、戸宮交差点前下車、徒歩4分

明治なるほどファクトリー坂戸(明治 坂戸工場)

めいじなるほどファクトリーさかど(めいじさかどこうじょう)

  • 049-283-1398(見学予約・問い合わせ)
  • 埼玉県坂戸市千代田5-3-1
  • 見学は1⽇3回(9:40~、11:30~、14:00~)、所要80分※要予約、3歳以下⼊場不可
  • 土・日曜、工場休業日
  • 無料
  • 若葉駅から徒歩15分

富士見緑地

ふじみりょくち

  • 埼玉県鶴ヶ島市富士見3・4・6丁目、坂戸市千代田4丁目など
  • 入園自由
  • 若葉駅から徒歩15分(場所によって異なる)

Oyaki Cafe Irori

オヤキカフェイロリ

粉にこだわり朝から手づくり
本格的な信州のおやき

2024年にオープンしたカフェ。名物は⻑野県産の地粉と国産全粒粉、⽔、塩で練る⽣地に、⼿づくりの具材を詰めて「焼き蒸かし」で仕上げたおやき。野沢菜、ナス、カボチャなど7種類があり各320円。信州名物⼭賊焼きランチ1500円(ドリンク付き)なども好評です。

  • 049-215-7810
  • 埼玉県鶴ヶ島市上広谷661-4
  • 11:00~17:45(ランチは~14:45、閉店は18:00)
  • 水曜、他不定休
  • 若葉駅から徒歩10分

BAKERY BUBU

ベーカリーブブ

地元の人が絶賛する
もちもちの焼きたてパン

地元のパン好きが太鼓判を押す人気のベーカリー。耳までもちもちとやわらかい湯種食パン300円や、外はパリッと中はもちっとおいしいバゲット230円など30~40種類のパンが並びます。メロンパンとクリームパンもファン多数。早めの時間に訪れるのがおすすめです。

  • 049-203-0492
  • 埼玉県鶴ヶ島市脚折1377-68 鍋島マンション 1F
  • 10:30~18:00(日曜は~16:00)
  • 月・火曜
  • 若葉駅から徒歩12分
イベントINFO
若葉エリアの伝統行事

茅の輪くぐり

夏を無事に過ごせるよう、毎年6月に茅(ちがや)で作った大きな輪をくぐって祈願する「茅の輪くぐり」が行われます。詳細はHPで要確認。

text : Fumiko Sato photo : Kota Yamashita illustration : Mai Beppu