2025.12 No.918 掲載

年末の大掃除は
まずお片付けから

早いもので今年ももう師走。今月13日は一年間の汚れを払う「すす払い」の日です。この行事は単に大掃除をするだけでなく、正月に年神様をお迎えするために、汚れと厄を払うという大切な神事でもあります。江戸時代、幕府が12月13日を城内や神棚などのすすを払う「御煤納(おすすおさ)めの日」と定めると、それが庶民にも広がり、やがて年末の大掃除の習慣へと転じていきました。

近年では大晦日(おおみそか)近くに大掃除をすることも多いですが、毎年忙しい年の瀬の掃除は大変ですね。そこで今年は大掃除の前に、片付けから始めてみませんか? まずは「捨てる」作業からスタートして、家の中にある物を少しずつ減らしていきましょう。物が減れば掃除の負担も軽減。家中をクリーンアップして、清らかな気持ちで新年を迎えましょう。

整理収納アドバイザー・
七尾亜紀子さんが指南

3ステップでチャレンジ!
リバウンドしない片付け術

❶やる気スイッチをONにする

1日たった1分でも手を動かす

まずはどんなに小さい片付けでもいいので、手を動かしてみましょう。手を動かすことで脳が活性化し、やる気が刺激されます。「今日はタンスの引き出しの整理だ」などと、いきなりハードルを上げる必要はありません。最初はペンケースの中身を整理するとか、1日1分間だけ片付ける時間をつくるなど、ハードルを下げてスタートすることが片付けモードに切り替えられるコツです。

❷片付けるには“捨てる体質”になる

「いらない物」ではなく「使う物」から選ぶ

物を捨てるかどうかの判断基準は、いらない物を選ぶのではなく、「使っている・使っていない」を軸にして決めましょう。最初に「1週間に1回以上使う物」を選んで収納し、次に「月に1回以上使う物」、さらに「半年に1回使う物」「1年に1回使う物」などの順に収納していきます。途中でスペースが満杯になったら「残りは処分」という、捨てる判断の基準が生まれます。

捨てるクセをつける

紙袋1枚でもいいので、1日1捨てを続けてみましょう。慣れてきたら1日2つ……と、無理のないペースで増やしてもいいですね。また、買い物をする際によく、1つ買ったら1つ減らすと言いますが、「先に減らしてから買う」という習慣をつけるとリバウンドしにくくなります。

❸部屋ごとに整理収納を実践!

リビング

共用スペースでは家族各自の私物が集まりがち。まずはその私物が、絶対にリビングで必要かという選別をし、リビングに置くのは文具や救急用品など、みんなで使う物を厳選します。どうしてもこの私物はリビングで必要だという場合は、ボックスや棚などで個人ゾーンを作り、そのゾーンからあふれる物は置かないという規則を決めます。洗面所などの共用スペースも同様に、家族でルールを決めることが重要です。

子ども部屋

子どもがまだおもちゃで遊ぶような年齢の場合、そのときの子どものマイブームに応じておもちゃの置き場所を決めましょう。例えば、よく遊ぶ1軍のおもちゃは出し入れしやすい前面に収納。ときどき遊ぶ2軍は奥へ、めったに遊ばない3軍は棚の上などでもよいでしょう。使用頻度はそのときの気分などによって変わることも多いので、子どもと相談しながら1・2・3軍は随時入れ替えていくとよいでしょう。

収納スペース

棚や納戸、押し入れ、物置など、共用の収納場所は、基本的には私物は置かず、共用品だけ置くというルールを作ります。また、各場所に収納の役割を決めることも大切です。例えば、ここはストック品のゾーン、ここは季節用品、ここはオフシーズンの布団など、使用頻度やサイズによって、使いやすい場所を選ぶことも大切です。

クローゼット

増えてしまいがちな洋服は、スペースに収まる分だけを残すことを心掛けましょう。そのためには、先に収納する上限を決めることが大切です。例えばハンガーの本数を決めて、そこに掛けられる数の洋服だけを残すというルールを作ります。ハンガーが足りなくなったら、残りの服は思い切って処分しましょう。

キッチン

調理器具は動線を考えて収納することがポイント。例えばコンロの近くにはフライパンや鍋、シンク周りにはザルやボウルなど、使う場所を考えれば、どこに何を収納すればいいか判断しやすくなるうえ、片付けもラクになります。

整理収納コンサルティングサービス「LIFE WITH」の代表。
整理収納アドバイザー1級の資格を持ち、自身のYouTubeチャンネルの登録者数は22万人以上。著書『自動的に部屋が片づく 忙しい人専用 収納プログラム』のほか、雑誌の特集記事の監修も多数手掛け、テレビの人気情報番組にも出演。プライベートでは高校生と小学生男子のママ。

text : 稲元孝子 illustration : ラニー・イナモト photo : PIXTA