朝霞(あさか)編

2025.11 No.917 掲載

朝霞駅の南口から歩いて10分ほどの公園通りにある木かげのトンネル。つる性植物が覆うアーチ型のトンネルで、自然と一体になったアート作品のような姿が目を引きます

東武鉄道の駅周辺をおさんぽするこの企画。
今回は、駅の両側ともに商店街が続き、
少し離れれば緑豊かな環境が広がる朝霞で、
秋の美景や名店を訪ねました。

(写真右上)朝霞駅と朝霞台駅の間で東上線と交わる黒目川。草木に覆われた河川敷が続いていて、堤防の歩道を散策するのもおすすめです
(写真右下)真っすぐに伸びた公園通りは大きな街路樹が続き、緑豊かな朝霞を象徴する場所
(写真左)朝霞駅南口にある、幼いころから亡くなるまでこの街に暮らした本田美奈子.さんの歌碑

路線バスを駆使して
駅両エリアを広くおさんぽ

荒川周辺の低地と武蔵野台地とに地形が大きく分かれる朝霞。今回めぐる駅周辺もそれなりに高低差があり、おすすめスポットが広範囲に点在しているため、路線バスで移動するのがおすすめです。

まず訪れたいのが、真言宗智山派の寺院である東圓寺(A)。山門周辺に植えられたイチョウの木々が黄葉し、落ち葉で黄色いじゅうたんを敷き詰めたような美しい秋の風景に迎えられます。山門右手に続く竹林の小径(こみち)・奥之院参道もまた、道沿いのモミジが真っ赤に色づき、京都・嵐山を思わせるような雅(みやび)な世界が広がります。

(写真右)奥之院参道で真っ赤に染まった秋のモミジと竹林。紅葉の見ごろは11月中旬~12月上旬
(写真左上)山門や鐘楼堂の一帯を黄色一色に染める黄葉したイチョウ
(写真右下)金剛力士が見守る山門
(イラスト左下)奥之院参道に飾られたフローティングフラワー

(写真右上)本殿左手に社務所があり、さまざまな授与品を頂くことができます
(イラスト右下)境内にあるみがわり大国主大神の像。体の不調なところや気になったりするところをなでると、ご利益があるといわれています
(写真左)大きなしめ縄が目を引く本殿

路線バスで駅に戻ったら、駅近くの出雲大社 埼玉分院(B)へ。荒船神社として創建された後、昭和58(1983)年に島根県出雲市にある出雲大社から分霊を頂いた歴史をもちます。端的に言えば、この地を訪れると本社に参拝するのと同様のパワーを頂けるスポット。おしゃれなデザインのお守りなどの授与品が数多くあり、朝霞さんぽの思い出にぴったりです

続いて向かうのは、駅南口から路線バスが近くまで運行しているりっくんランド(C)。陸上自衛隊広報センターであり、その歴史や現在の装備・戦闘車両などを間近に見ることができます。2025年9月から全面改装が始まっていますが、この11月はVRによる訓練体験や屋外の車両の見学は可能。昭和16(1941)年から終戦まで旧陸軍予科士官学校が置かれていた歴史から、神奈川県座間市にあった旧陸軍士官学校皇族舎を昭和53(1978)年に広報センターの隣接地に移築。振武臺(しんぶだい)記念館として、貴重な旧陸軍の史料などを展示しています(改装の対象外)。

駅東口から歩いて8分ほどのあづま家(D)は、朝霞の名物グルメとして大人気のテフタンメンが食べられる唯一のお店。辛味とうま味が融合した野菜たっぷりの麺料理は、他では味わえない唯一無二のおいしさです。

そのほか、世界的に知られるジャズ喫茶や春と秋だけ開く欧州のような空間が魅力のカフェに足を延ばすのもおすすめです。

(写真上)2025年8月末までの展示コーナー。機動戦闘車やパラシュートなどの実物が展示されていました ※2025年9月から2028年3月末まで、順次リニューアル工事を実施。写真は2025年8月末時点のものです
(写真右下)木造の洋風建築が印象的な振武臺記念館
(写真左下)2028年3月の改装後は新たな展示場所での展示となる最新式の水陸両用車。改装中も開催しているVR体験では、乗車している映像をリアルに体験することができます

(写真右上)テーブル席が並び、町中華らしい雰囲気の店内
(写真左下)テフタンメン1000円。女将・齋藤さんの夫が韓国で食べて気に入った味を再現した昭和から続く看板メニューです。コチュジャンと自家製ラー油の辛味に加え、たっぷりの野菜の甘みも感じられます

今回訪れたのはこちら

東圓寺

とうえんじ

  • 048-461-0953
  • 埼玉県朝霞市岡2-8-92
  • 境内自由
  • 朝霞駅から朝霞台駅南口行きバスで4分、東円寺下車、徒歩4分

出雲大社 埼玉分院

いずもたいしゃさいたまぶんいん

  • 048-463-3720
  • 埼玉県朝霞市本町2-20-18
  • 8:30~17:00(受付は9:00~)
  • 無休
  • 朝霞駅から徒歩5分

陸上自衛隊広報センター りっくんランド

りくじょうじえいたいこうほうセンター りっくんランド

  • 03-3924-4176
  • 埼玉県朝霞市栄町4-6
  • 9:30~11:45、13:15~16:45
  • 月・火曜、年末年始(祝日の場合は翌平日休)
  • 朝霞駅から北朝霞駅前行きバスで5分、栄町三丁目下車、徒歩4分

あづま家

あづまや

  • 048-463-3907
  • 埼玉県朝霞市仲町1-8-1
  • 11:30~14:30(閉店15:00)、17:00~20:00(閉店20:30)
  • 水・木曜
  • 朝霞駅から徒歩8分

ジャズ喫茶 海

ジャズきっさうみ

米軍→陸自と続いた朝霞と基地の歴史も伝承

朝霞駐屯地が米軍基地だった昭和27(1952)年に開店。往事は米兵が着飾って訪れ音楽に耳を傾けたという、町とともに歴史を刻んだ名店です。希少な真空管アンプの音は今なお健在。写真はえびピラフ1120円とオリジナルブレンド550円。

  • 048-468-4048
  • 埼玉県朝霞市栄町3-7-43
  • 11:30~18:00(ライブがある日は~22:00)
  • 不定休
  • 朝霞駅から新座栄行きバスで3分、第四中学校入口下車、徒歩5分

La vie est belle

ラヴィエベル

春と秋だけオープンする家具職人が営むおしゃれカフェ

住宅街にひっそりとたたずむカフェ。店名はフランス語で「人生は美しい」。オーダー家具職人の金杉さんがつくり上げた、欧州の洋館を思わせる店内でくつろげます。サンドプレートやクロワッサン、フレンチトースト(写真)やスイーツがそろっています。

  • 048-462-2675
  • 埼玉県朝霞市膝折町1-15-6
  • 2025年は11月1日~12月23日営業、土・日曜8:00~12:00、月・火曜12:00~18:00
  • 水~金曜
  • 朝霞駅から大泉学園駅北口行きバスで5分、緑ヶ丘下車、徒歩6分
イベントINFO
朝霞の秋の行事

ASAKA STREET TERRACE 2025

“あさかの「まちなかテラス」をあるこう”をコンセプトに、駅前から約1.2kmの道を活用したイベント。会場には雑貨や飲食店等の出店が散りばめられ、まち歩きを楽しめる2日間です。

朝霞市文化祭

芸術・文化の秋の季節に行われる文化イベント。2025年度は合唱や吟剣詩舞、吹奏楽などの芸能部門と、将棋、囲碁の大会部門の2つの部門で開催。

text : Taku Tanji photo : 東圓寺、Taku Tanji illustration : Mai Beppu