新・駅前そぞろ歩記

SL「大樹」が走る秋の東武鬼怒川線
下今市~鬼怒川公園

今年8月に約半世紀の時を経て東武鉄道に復活した蒸気機関車。SL大樹(たいじゅ)(C11-207)の運転区間は、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間の12・4キロメートルです。途中に停車するのは、新たに開業した東武ワールドスクウェア駅。SLの発着駅である鬼怒川温泉駅も佇まいが一変しました。なんと駅前広場にSLの転車台が設置されたのです。ホームに停車した蒸気機関車が切り離されて駅前までやって来て、ここで豪快な180度ターンを披露してくれました。

下今市~鬼怒川公園
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下今市~鬼怒川公園
SL「大樹」が夢の転換を披露

汽笛一声を響かせてSL「大樹」がゴトンと下今市駅を発車。SLならではのドラフト音が生き物みたいで、力強く客車を引っ張っていきます。東武鬼怒川線には急勾配の区間もあって、電車のようなスピードを出すことはできませんが、ゆっくりと走る列車の車窓に向かって地元の人たちが笑顔で手を振ってくれます。東武のSL復活を地域ぐるみで祝福してくれているのです。

昭和のレトロ感がいっぱいの客車内ではSL観光アテンダントが乗務。3D記念乗車証を配布したり、観光案内をしたりと旅気分を盛り上げてくれます。また、汽車の旅といえば駅弁が似合います。大樹デビューを記念した3種類の駅弁があり(駅売店で販売)、たくさんの記念グッズも販売。鬼怒川沿線の雄大な自然を眺めながら、家族や友だちとSL談議に花を咲かせていれば、あっという間の36分で、大樹は汽笛を響かせて鬼怒川温泉駅に到着しました。

蒸気機関車が方向転換するために駅前広場の転車台にやって来ると、見物している人たちから歓声が沸き起こります。なんだか鬼怒川温泉駅前の雰囲気がこれまで以上に活気にあふれているようで、楽しくなります。

鬼怒川温泉のおすすめ散策は「七福邪鬼めぐり」。邪気を払って福を招く邪鬼の像が、鬼怒川温泉駅前と温泉街に架かる六橋のたもとに設置。その六橋をめぐってスタンプを集めると「邪気払いお守り」をもらえるのです(シートは駅前の鬼怒川・川治温泉観光情報センターで配布)。

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下今市~鬼怒川公園
六橋めぐりで鬼怒川を散策

下流から巡ると、まずは鬼怒楯岩(きぬたていわ)大吊橋。峡谷の名勝「楯岩」と温泉街の南部を結ぶ歩行者専用吊橋です。次は立岩(たていわ)橋で、真下は鬼怒川ライン下りの急流ポイント。ふれあい橋は温泉街の広場として建設された歩行者天国の橋。左岸側から階段を下りて振り返ると、その高さ45メートルの大階段いっぱいに赤鬼の絵が浮かび上がってびっくりします。くろがね橋からの眺めは鬼怒川両岸に並ぶホテル群で、橋のたもとには眺めのよい足湯もありました。滝見橋は比較的小さな吊橋で歩くたびに橋が揺れ、ちょっとしたスリルが味わえます。最上流に架かるのは鬼怒岩橋。橋の真下の川は大滝と呼ばれる滝の流れです。

こんな感じで鬼怒川と橋と温泉街をめぐり歩いていくと、いつの間にか一駅先の鬼怒川公園駅に。すぐそばの鬼怒川公園の中には日光市営浴場「鬼怒川公園岩風呂」があり、岩風呂や檜風呂、露天風呂を備えた気軽な立ち寄り湯として人気です。

また東武鬼怒川線では、日光・鬼怒川エリアを代表するテーマパーク「東武ワールドスクウェア」へのアクセスとして新駅「東武ワールドスクウェア駅」が開業。駅前から1分で同園のゲートという近さ。しかも一部の時間帯を除いて、SL「大樹」や特急リバティも停車します。

園内の日本ゾーンのジオラマも新駅開業に合わせてリニューアル。特急リバティに続いてSL「大樹」が走行し、周辺では「がんばれ大樹」の横断幕を掲げる子どもたちや、列車を撮影する鉄道ファンの人形たちが声援を送っていました。

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下今市~鬼怒川公園MAP
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