新・駅前そぞろ歩記

藤の牛島
藤の牛島

 春日部市の花(市花)はフジ。春になると市街の「ふじ通り」には200本を超えるフジが花房のすだれを作り、「春日部藤まつり」が催されます。しかしもっと古くから人々に愛されてきたのは「牛島のフジ」です。古木の樹齢はなんと1200年以上といわれ、国内では最大規模の藤棚。1955年には全国のフジの中で唯一、国の特別天然記念保存木に指定されました。最寄り駅は、東武アーバンパークラインの、その名も「藤の牛島」

藤の牛島
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藤の牛島
藤の牛島

 藤の牛島駅がある牛島という町は、大落古利根川と中川に挟まれ、所どころに畑がある自然豊かな落ち着いた住宅街。その一角に広がる庭園「藤花園」の中に牛島のフジがあります。当初は真言宗の寺院・蓮花院の境内でしたが、明治時代に廃寺となり、その後幾度か所有者が変わり、現在は藤花園により管理され、フジの開花期に一般公開されています
(今年は4/13~5/5)。牛島のフジは、10数本の幹に分かれている根元の総周囲が10m近い大きさで、主幹の根回りは4m。総面積700㎡に及ぶ藤棚の枝張りは東西約34m、南北約14mと国内最大級。薄紫に輝く花房は2mに及びます。この古木は全国に普及した品種・九尺藤(紫長藤)の日本最古の原木といわれています。それにしても樹齢1200年とは……伝説によると弘法大師(空海)のお手植えとありますが、空海が生きた時代がまさに1200年前。「本当に弘法大師が植えたのかも」と思えてきます。
 牛島のフジを堪能した後は、牛島地区を緩やかに蛇行して流れる古利根川の周辺を散策します。高層建築物がほとんどないこの地区でランドマークになっているのが、牛島公園の野球場の夜間照明灯。公園内には四季折々の自然に触れて散歩できる遊歩道があります。

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藤の牛島
藤の牛島

 古利根川への排水路に逆流を防ぐ樋門「倉松落大口逆除」(通称:めがね橋)が、経済産業省の近代化産業遺産として保存されています。明治24年に完成したレンガ造りの4連アーチ構造。川が育んだ文化遺産です。
 樋堀大師は、江戸時代から弘法大師の掛け軸が伝わる正福寺にあり、当時は関東三大師の一つとされていましたが、明治の廃仏毀釈令で廃寺に。地区民はその建物を大師堂と改めて、ずっと守り続けているとのことです。
 牛島女体神社もまた牛島の鎮守として地区民に守られています。江戸期には、牛島のフジの由来にその名が出ていた蓮花院持ちの神社だったそうです。どの社寺も弘法大師──
空海つながりで、不思議な縁を感じます。
 大落古利根川には、サクラ並木がすてきな遊歩道「古利根きらめき通り」が続きます。
散歩するには最高の遊歩道です。牛島公園の近くにある児童センター「エンゼル・ドーム」から聞こえてくるのは、元気に遊ぶ子どもたちの声。その前には「ひなげしの広場」があり、季節ごとの花畑となります。春はひなげし、夏はヒマワリ、秋はコスモスと、四季それぞれに花が楽しめます。このような川辺の憩いの空間づくりが、春日部市だけではなく、古利根川沿いの杉戸町・宮代町・松伏町との連携で取り組まれているのです。

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