ハイキングも気持ちいい日光の自然。 火山の歴史が創り上げた、ここにしかない大湿原

豊富な動植物が息づく「日光国立公園」の中心地

歴史ある二社一寺と並ぶ日光の大きな魅力は、その自然の豊かさと美しさ。浅草から特急に乗りわずか2時間足らずの距離ですが、都会の喧騒を忘れ日々の疲れを癒してくれる絶景が広がっています。

日光の特色あるその景色は、那須火山帯に属する男体山、女体山、赤薙山といった成層火山があることで形作られました。ここでしか見られない貴重な高山植物も多く分布していることから、群馬県、福島県にまたがるこの一帯は日光国立公園に指定され、生態系の保護が図られています。

ここでは、そうした日光の大自然の中でも、火山が作り出した日光ならではの湿原の魅力についてご紹介します。

日本を代表する高層湿原「戦場ヶ原」

華厳滝や竜頭ノ滝など滝が多いことからもわかるように、日光は非常に起伏の多い地形が特徴ですが、国道120号線を進み中禅寺湖を抜け、竜頭ノ滝を越えると、やがて道路左側に広々とした大平原が現れます。ここが戦場ヶ原です。その名は、昔、山の神がこの地を舞台に戦いを繰り広げたという伝説に由来しています。

広さは約400ヘクタール。もともとは男体山の噴火で湯川が堰き止められてできた「堰止湖」でしたが、長い歴史の中で湖の上に土砂や火山灰、火山岩などが積もり、その上にヨシなどの水生植物が植生して湿原となりました。

標高1,300mから1,400mに位置するため冬は雪に覆われますが、6月から8月にかけてはワタスゲ、レンゲツツジ、カラマツソウ、ノハナショウブなどさまざまな高山植物が咲き競います。湿原内には木道が整備されているため、こうした花々を目当てに多くの人々がハイキングに訪れます。また、キビタキ、ホオジロ、カワガラス、そして森林部にはアカゲラ、シジュウカラ、ウグイスなど野鳥の宝庫でもあり、観察で訪れる方も多くいらっしゃいます。

湿原と草原両方の特徴を持つ「小田代原」

戦場ヶ原の西側には、小田代原(おだしろがはら)と呼ばれる平原が広がっています。ここは、長い歴史の中において湿原から草原へと移り変わるその遷移期にあるとされ、その両方の特徴を持つ貴重な湿地として学術的にも注目されています。

そうした背景から日光国立公園の「特別保護地域」および「特別地域」に指定され、マイカーの通行も規制されていますが、一方で木道もしっかりと整備されており、夏場には、ここにしかない自然を求める多くのハイカーたちで賑わいます。

小田代原で見られる植物は、アヤメ、ニッコウアザミ、ノハナショウブ、リンドウ、ワレモコウなど。台風などで雨が降った後には一次的に沼地が出現するなど、戦場ヶ原とはまた違った景色を楽しむことができます。

より深く日光の自然を知りたいなら「日光自然博物館」へ

「戦場ヶ原や小田代原についてもっと学びたい」「効率よくまわれるハイキングコースが知りたい」という方は、日光自然博物館を訪ねることをおすすめします。中禅寺湖と華厳滝の間に位置する栃木県立の博物館です。

館内には自然系展示室、人文系展示室、映画で奥日光を紹介するホールなどがあり、日光エリアの自然や歴史の紹介の他、自然体験イベントの開催など、地域のさまざまな情報を発信しています。奥日光の自然にちなんだお土産を販売するミュージアムショップもあります。

また、高原の心地よい風を感じながら周辺の自然を巡ることができるサイクルシェアのサービスもあります。電動自転車なので山道の勾配も安心です。

栃木県立日光自然博物館

住所 栃木県日光市中宮祠2480-1
電話 0288-55-0880
URL https://www.nikko-nsm.co.jp/

ハイキングのモデルコースはコレ!日光で高原の空気を大きく吸い込もう

日光には、自然の力が生み出した、他のエリアにはないここだけの風景があります。日々の疲れをひととき離れて心も体も開放したい――そんなあなたにぜひ訪ねていただきたいスポットです。

戦場ヶ原を歩くおすすめのモデルコースは、東武日光駅からバスで中禅寺湖方面へ向かい、「竜頭の滝」バス停で下車。そこから戦場ヶ原を抜け、奥日光の湯滝まで、約2時間かけて歩くコースです。湯滝から中禅寺湖畔へバスで約30分移動すれば、温泉も楽しめる1876年創業の老舗ホテル「中禅寺金谷ホテル」があります。ハイキングの疲れを癒しながら湖畔のリゾートで過ごすのも素敵な思い出になりそうです。

美しい草花を探しながらのハイキングで心地よい汗をかいたら、自社製造のクラフトビールも味わえる戦場ヶ原脇の「三本松茶屋」で一息つくのもオススメ。都会では味わえない高原ならではの澄み切った空気を大きく吸い込んでリフレッシュしませんか?

※2019年9月現在の情報です