100万年の時代を経て生まれた200mにわたる奇岩の壁「塔のへつり」

「塔のへつり」の名前の由来とは?

塔のへつりは福島県南会津郡下郷町にある景勝地です。「へつり」は、会津地方の方言で「険しい断崖」を意味しています。その名の通り、人が歩いて通れるほどの幅で岩壁が浸食されており、その岩壁が塔のように並んでいることから「塔のへつり」と呼ばれるようになりました。

長い歳月をかけて浸食・風化されたことで、この自然の造形美がもたらされました。1943年、国の天然記念物に指定されています。

夏は緑、秋は紅葉と奇岩のコントラストが魅力

塔のへつりは全長200mにわたって搭状の奇岩が並んでおり、それぞれ屏風岩、烏帽子岩、護摩塔岩、九輪塔岩、櫓塔岩、獅子塔岩、鷲塔岩などと名前が付けられています。

奇岩の上部や側面には木々が生い茂り、季節ごとに色彩豊かな風景を楽しむことができます。春の鮮やかな新緑や、ヤマフジの淡い紫と白い岩肌が溶け合う初夏なども魅力的ですが、特におすすめの季節は秋。10月下旬から11月上旬にかけ、山を彩る紅葉が川面に映り、素晴らしい光景を楽しめます。

そして、雪の降り積もる冬。周辺は一面の銀世界です。季節ごとに趣きの違う景観を見ることができるのも、塔のへつりの大きな魅力の一つです。

スリルあるつり橋をわたって「へつり」側へ

阿賀川にかかるつり橋を渡ると、「へつり」の浸食された部分を歩くことができます。つり橋はミシミシと音がしたり、風で揺れたり。「スリルを味わえる」として人気です。また、橋から見るエメラルドグリーンの水面や切り立った断崖の眺めは、川岸から見る景色とは一味違った魅力があります。

つり橋を渡ると、「虚空像菩薩」が祀られたお堂があります。807年に坂上田村麻呂が創建したという伝説が残り、成績向上や記憶力増進、商売繁盛、技芸向上などのご利益があると言われています。丑、寅年生まれの方の守り本尊ですが、近年はパワースポットとしても人気を集め、多く人が参拝に訪れています。あなたもぜひ一度訪れて、パワーをいただいてみてはいかがでしょうか。

「塔のへつり駅」から徒歩5分の好アクセス

塔のへつりへは、会津鉄道の「塔のへつり駅」から歩いて5分ほどのところにあり、電車の旅でも気軽に訪ねることができる名所です。駅を降り、塔のへつりへと向かう階段を降りてすぐのところには、眺めのいい休憩スペースやお土産物が揃うお店がありますので、へつりの魅力を味わう前に、またその魅力を体感した後に、ぜひ立ち寄ってお買い物や休憩をしてはいかがでしょうか。会津ならではのおみやげもたくさん並んでいます。

阿賀川の流れにより、100万年もの歳月にわたり浸食と風化を繰り返して生まれた「塔のへつり」。その悠久の時に思いを馳せながら「へつり」の道を踏みしめれば、きっと今まで感じたことのない感動が味わえるはずです。

塔のへつり

住所 福島県南会津郡下郷町弥五島下夕林5316
アクセス 会津鉄道、塔のへつり駅から徒歩5分
URL http://shimogo.jp/sightseeing/tonohetsuri/

※2019年9月現在の情報です