天空の湿原を目指し日帰り縦走! 帝釈山から田代山へ、南会津の山を歩く

時間とともに移ろいゆく広大な景色...日常を忘れて山と向き合う一日

もし仕事や都会での生活に疲れたら、雄大な山々の力強さをダイレクトに感じられる山歩きにチャレンジしてみませんか?

尾瀬国立公園には、手つかずの自然が残っている山々があります。福島県・栃木県をまたぐ帝釈山脈に連なる「帝釈山」と「田代山」は、少ない勾配で縦走(下山せずに山から山へ向かうこと)をしやすく、また登山口から1時間程度で山頂に到着できる、初心者にも登りやすい山です。山開きシーズンの6月には高山植物が一斉に咲き乱れ、登山客の目を楽しませてくれます。

山道では携帯電話の電波も届かないので、日々の喧噪から離れられる絶好の機会。日々スマートフォンから絶え間なく入ってくる情報をシャットダウンして、ありのままの自然を感じるのも、山歩きのいいところです。

かつての「幻の山」が気兼ねなく満喫できる。帝釈山脈の主峰・帝釈山

帝釈山は、太平洋と日本海を隔てる分水嶺、帝釈山脈の中心にある、標高2,059mの山です。かつては登りにくい山として有名でしたが、平成19年に尾瀬国立公園の一部に加わると、登山口や登山道が整備されるようになりました。1,790mの位置にある登山口までは車で入れるので、気軽に2,000m級の山に登ることができます。

登山道では、初夏にはオサバグサのかわいらしい白い花が色を添えます。オサバグサは決まった山域でしか見ることのできない希少な花で、福島県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。見ごろを迎える6月にはオサバグサを一目見ようと多くの登山客が帝釈山を訪れます。

登山口からは整備された階段を登っていくので危険は少ないですが、山頂に近づくにつれ岩場が増え道が険しくなります。足元に注意しながら先へと進みましょう。360度の大パノラマが広がる山頂では、日光や南会津の壮大な山々を一望できます。遮るものがない眺望をしっかりと堪能したら、次は空の上の花畑・田代山へと向かいます。

どこまでも続く湿原とお花畑。田代山は高山植物の宝庫

帝釈山から福島と栃木の県境を沿うように進むと、1時間ほどで田代山山頂の田代山湿原に入ります。近くには避難小屋があるので、休憩やトイレはここで済ませられます。

プリン山とも呼ばれるほど平らな山頂には見渡す限りの広大な湿原が続いていて、設置されている木道の上からあたりを眺めると、ここが山の上であることを忘れてしまうかのようです。天気のいい日には青空と緑の美しいコントラストが目の前に広がります。条件がそろえば雲海が発生することも。雲に浮かぶその様子はまさに「天空の楽園」です。

帝釈山と同じように、初夏の季節にはミヤマリンドウ、チングルマ、ヒメシャクナゲなどの高山植物が草原に咲き誇ります。中でも白いふわふわとした花を咲かすワタスゲは至るところに群生していて、湿原の美しさをさらに際立たせます。高山植物が生み出す素晴らしい景観から、田代山は「花の百名山」に数えられています。

朝から登り始めると、田代山に着くあたりでちょうどお腹がすく頃合いです。湿原に流れる爽やかな風を感じながら食べるお弁当はきっと、どんな高級料理にも負けない食事になるでしょう。

身体を動かさなければ体験できない絶景と充足感が山歩きの魅力

木々の生命力と愛らしい花々。それぞれ個性の違う山を一度に楽しめるのが帝釈山~田代山ルートの特色です。山歩きを終えて登山口から出る頃には、普段の生活ではなかなか感じられない達成感に包まれているはずです。

登山の心地よい疲れを癒してくれるのは、やっぱり温泉。ふもとには木賊温泉や湯の花温泉、檜枝岐温泉などの味のある温泉があります。お湯に浸かって身体の疲れを洗い流して、しばしゆったりとした時間を過ごしましょう。

登山は自然を感じるだけでなく、運動にもストレス発散にも最適のアクティビティです。充実した山歩きでリフレッシュすれば、また新しい気持ちで日々の暮らしを過ごすことができるはずです。

※2019年10月現在の情報です