21体のたぬき像が出迎える、ぶんぶく茶釜の寺「茂林寺」

古刹・茂林寺の境内は狸だらけ

群馬県館林市にある茂林寺は、1426年に創建された曹洞宗の寺院です。この茂林寺はおとぎ話「ぶんぶく茶釜」の寺として広く知られており、総門から山門に続く参道では21体の信楽焼の狸像が参拝客を出迎えてくれる他、山門をくぐると1960年に東武鉄道が寄贈した巨大なタヌキ像が待っています。

境内には他にも多くの信楽焼の狸が置かれている他、日本各地の狸グッズや狸の剥製が多くが展示された「狸コレクション」も人気を集めています。ここでは、そんな茂林寺の歴史や「ぶんぶく茶釜」のとの関わりについてご紹介します。

本物? 寺の宝として今も見学できる「ぶんぶく茶釜」

日本中で語り継がれるおとぎ話「ぶんぶく茶釜」。そのストーリーはこんな感じです。

上野国館林にある茂林寺。茶の湯を趣味にするその茂林寺の和尚さんがある日、茶釜を買って寺に持ち帰ります。その茶釜が和尚の居眠りの最中に頭やしっぽ、足をはやしたといい、小坊主たちに見つかって騒動となります。和尚は最初はそんな話を信じもしませんでしたが、お湯をわかそうと茶釜を炉にかけると、その熱さに耐えかねた狸がついに和尚にその正体を現しました。驚いた和尚はその奇妙な釜を屑屋に売ってしまいます。

その夜、寺でのさんざんな扱いにうんざりしていた狸は、屑屋にその不思議な姿をあらわし、自分は狸の化けた茶釜「ぶんぶく茶釜」だと名乗って、軽業や踊りの芸を人前でやるので丁寧に扱ってほしいと屑屋に持ちかけます。茶釜大夫の曲に合わせた綱渡り芸は人気を博し、多くの人が集まる見世物になり、屑屋を繁盛させました。

その後、元の姿に戻れぬまま病気にかかり死んでしまった狸を引き取った茂林寺で供養してもらい、その茶釜が寺の宝として安置されたというのが、物語の結末です(結末には諸説あります)。寺所蔵の茶釜は、一般の参拝者も有料で見学することができます。

境内の建造物に古刹の歴史の深さを感じ取る

「ぶんぶく茶釜の寺」としての側面にスポットが当たりがちですが、境内には歴史を物語る建造物も多く、茂林寺のもう一つの見どころとなっています。

寺の入口である総門は、1468年に建立。黒門とも呼ばれています。その先にある山門も歴史が深く、1694年に建立されたもので、こちらは赤門とも呼ばれます。本堂はさらに古く、1468年に建立、1727年に改築を行い現在に至っており、この本堂北側の一室に「ぶんぶく茶釜」が置かれています。

また本堂の前には、1980年に館林市の保存樹に指定された枝垂れ桜があります。桜の時期にはこの桜が古刹の趣きに花を添え、多くの見物客が訪れます。

茂林寺周辺は一日楽しめる人気スポット集中エリア

境内を散策をしたあとは、ぜひ旅の記念に狸の置き物を求めましょう。参道手前のお土産屋さんでは、大小さまざまなサイズの狸の置物がずらりと並んでいます。もちろん、「ぶんぶく茶釜」をモチーフにしたお守りが人気。その物語から金運にご利益があるとされている他、健康長寿、必勝祈願のお守りなどもあります。

参拝を終えたら、ぜひ茂林寺の北側一帯に広がる「茂林寺公園」へも足を伸ばしてみましょう。群馬県の天然記念物に指定されている「茂林寺沼及び低地湿原」を中心に、ホタルの里や茂林寺川などがあり、自然の魅力を体いっぱいに感じることができます。さらにその隣には花のテーマパーク「東武トレジャーガーデン」もあり、一日まるごと飽きることなく過ごせるエリアです。

※2019年10月現在の情報です