面積33km²、関東4県にまたがる国内最大の遊水地「渡良瀬遊水地」

広大なヨシ原が多彩な生き物を育むラムサール条約の登録地

渡良瀬遊水地は、栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたいで広がる総面積33km2(東京ドーム700個分)の日本最大の遊水地です。

谷中湖とも呼ばれるこの貯水池の計画は、1890年と1896年に起きた渡良瀬川の洪水が発端となっています。地元の国会議員だった田中正造を中心に、谷中村の住民たちが上流の「足尾銅山」から流れる鉱毒の被害を訴えて抗議行動を展開。明治政府は問題の対応するために、谷中村のあった場所に遊水地の建設を立案します。1910年から工事を開始し、1930年に完成。その後、思川と巴波川に沿った堤が作られ、現在は大雨の時に川の水を取り入れ、首都圏の渇水時に水を供給する役割を果たしています。

渡良瀬遊水地には数十年をかけて国内最大級のヨシ原が広がり、貴重な動植物が見られる場所となりました。2012年には国際的に貴重な湿地であることが認められ、ラムサール条約に登録。多種多様な鳥、獣、昆虫、魚、草花、樹木が観察できる、関東屈指の大規模なサンクチュアリと言えるでしょう。

「生きた自然の博物館」とも言うべき動植物の宝庫

渡良瀬遊水地の魅力はなんと言っても、その多様性に富んだ自然です。遊水地全体の75%以上を植物が覆い、そのおよそ半分がヨシ原が生い茂っています。鳥類約260種(58種が絶滅危惧種)、昆虫類約1700種(62種が絶滅危惧種)、魚類45種、そして植物が約1000種(60種が絶滅危惧種)観察できる、まさに「生きた自然の博物館」です。さらに「ワタラセツリフネソウ」「シロバナナガバノイシモチソウ」「エドガワヌカボ」が新種として発見された場所でもあります。

「ハイイロチュウヒ」や「ノスリ」「オオタカ」といった猛禽類を頂点に固有の生態系を形成する大湿地帯を保全するために、毎年3月下旬にはヨシ原を焼く「ヨシ焼き」が行われます。ヨシ焼きには害虫駆除や春の植物の発芽を促進するといった効果があります。低地でありながら、ヨシ原や湖沼、草地、森林とバラエティにとんだ植相が、数多くの種類の動物たちが暮らす環境を提供しています。里山や手つかずの自然が数多く残っていた時代に日本で日常的に見られた野生動物の数々を、渡良瀬遊水地に行けば自分の目で見ることができるのです。

水上スポーツも楽しめるレジャー拠点としても人気

希少な自然を目にすることができるのが渡良瀬遊水地の大きな魅力の一つですが、さまざまなスポーツアクティビティが楽しめるスポットであることも忘れてはいけません。

「湖ゾーン」の「北ブロック」ではヨット、ウィンドサーフィン、カヌーの体験が、谷中ブロックでは餌釣り、「南ブロック」ではルアーフィッシングとフライフィッシングが満喫できます。また、「スポーツゾーン」には野球、サッカー、テニスのグラウンドの他、多目的の敷地やマラソン大会が開かれる広場もあります。

「子供広場ゾーン」は家族の休日に最適。レンタサイクルを借りて湖畔の気持ちいい風に吹かれながら走ったり、ピクニックやバーベキューやインラインスケートをしたりと、アウトドアなひとときが過ごせます。

楽しみ方は何通りも。あなたなら渡良瀬遊水地で自然の中で何をしますか?

公害闘争の中心となった谷中は、今では日本国内ではあまり見ることができない豊かなヨシの湿原へと姿を変えました。数えきれないほどの動植物が年間を通して観察できるので、お目当ての生き物に事欠かないポイントです。

また、渡良瀬遊水地はマリンスポーツを始め、数多くのアクテビティを大自然の中で思い切り体験できる、魅力あふれる拠点でもあります。

広い空の下でサイクリングをしたり、バーベキューをしたり、釣りをしたりと、ゆったりとした時間を過ごすこともできます。目いっぱい自然を満喫したいと思ったら、渡良瀬遊水地に足を運んでみてはいかがでしょうか。

渡良瀬遊水地

URL https://watarase.or.jp/

※2019年9月現在の情報です