見晴らしとあじさいが魅力。歴史も深い「太平山」の楽しみ方

上杉謙信ゆかりの歴史の山、太平山

太平山県立自然公園の中心部に位置する太平山(おおひらさん)は、標高約340m。山頂付近には、太平山神社があります。827年に円仁(慈覚大師)が開山したといわれ、江戸時代には徳川歴代将軍の崇敬を受けました。境内の随神門は、8代将軍吉宗によって1723年に建てられたものです。

上杉謙信の叔父が6代目住職を務めていたこともある太平山中腹の大中寺(だいちゅうじ)は、1568年に謙信が北条氏康と和議を結んだ場所であり、上田秋成作「雨月物語」の青頭巾の舞台としても知られています。

和議を結んだ後、謙信は太平山から関東平野を見渡し、その広さに驚いたといいます。それが、山頂近くの展望スポット「謙信平」の名前の由来です。謙信平はまた、「陸の松島のよう」と国学者の岡吉胤(おかよしたね)が称賛したことでも知られています。

現在、太平山の三大名物となっている焼き鳥、玉子焼き、太平だんごは、太平山神社に奉納されたニワトリとお米を使って作られたのが始まり。謙信平と太平山神社周辺の茶屋で食べることができます。

東京スカイツリー®も見える「日本夜景遺産」の山

全国の代表的夜景スポットを選出する「日本夜景遺産」に選ばれている太平山。関東平野を一望でき、なんと東京スカイツリーも見ることができる太平山の夜景は、「100万ドルの夜景」ならぬ「一千両の夜景」と呼ばれています。

太平山の主な夜景スポットは、太平山神社手前の駐車場から階段を上がったところにある見晴台と謙信平にある展望台。ベンチが並んでいるので、ゆっくり座りながら夜景観賞することができます。

また、山頂近くまで車で行くことができるので、ドライブデートにピッタリです。ただし、1月の正月期間と4月のさくらまつり期間以外は、22:00から翌4:00まで車両通行止めになるのでご注意ください。駐車場は見晴台付近と展望台付近にあります。

参道は別名「あじさい坂」

あじさいの名所としても知られている太平山。連祥院六角堂の横から太平山神社の随神門まで続く表参道は、通称「あじさい坂」とも呼ばれ、あじさいシーズンの6月下旬~7月上旬ころには、1,000段の石段沿いに西洋あじさいや額あじさい、山あじさいなど約2,500株が咲き誇ります。ハート形のあじさいが見つかることもあるので、ぜひチェックしてみてください。

雨の日には、表参道でよくアマガエルの声を聴くことができます。この「あじさい坂の雨蛙」の鳴き声は、栃木県では唯一、環境省の「残したい"日本の音風景100選" 」に選ばれています。

表参道の途中にはあじさい茶屋があるので、歩き疲れたら、あじさいを眺めつつ、しばし休憩するのもいいかもしれません。その先の随神門から太平山神社までの間の石段沿いでも、あじさいを見ることができます。さらに、太平山周辺の大中寺や清水寺(せいすいじ)でもあじさいを見ることができますので、時間があれば立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

花の名所・太平山

太平山はあじさい以外にも、日本さくらの会が選んだ「さくらの名所100選」に選ばれている桜の名所でもあり、山全体で約4,000本の桜を見ることができます。桜のトンネルが2㎞続く遊覧道路や謙信平付近が、主な桜の名所です。ふもとの太山寺(たいさんじ)でも、3代将軍家光の側室が植えたといわれている樹齢約400年のしだれ桜を見ることができます。

また、桜のあとの季節には謙信平や近くの錦着山などでつつじが咲き、秋には謙信平や太平山神社をはじめとした全山が紅葉に彩られます。1年を通じて、様々な植物を見ることができる太平山。グルメや夜景観賞もあわせて、ぜひ訪れてみてください。

太平山神社

URL http://www.ohirasanjinja.rpr.jp/

※2019年10月現在の情報です