ハイカーや山ガールのあこがれの地「遥かな尾瀬」

春から秋まで季節ごとに楽しめる。尾瀬はこんな所

「夏が来れば思い出す~」の歌い出しで知られる唱歌「夏の思い出」の舞台となったことで知られる尾瀬。福島県・栃木県・群馬県・新潟県にまたがる一帯は「尾瀬国立公園」に指定され、その広さは、37,200ha(東京ドーム約8,000個分)という規模を誇っています。

尾瀬の代表的な景観として知られているのは、国の指定天然記念物に指定されている尾瀬ヶ原と尾瀬沼です。標高1,400mに位置する尾瀬ヶ原は本州最大の湿原で、春(5月中旬~6月下旬)には木道沿いでミズバショウを眺めることができます。特に、牛首分岐から竜宮十字路に向かう途中、下ノ大堀付近から至仏山(しぶつさん)をバックに撮影するミズバショウは、尾瀬で最もよく知られた景色といっても過言ではありません。

尾瀬ヶ原に1,800個以上あるといわれている池塘(ちとう)は、湿原の泥炭地にできる池です。竜宮十字路の近くには、「竜宮」と呼ばれる池塘があります。他の場所から水がどんどん流れ込んでくるのに、水があふれることはない不思議な「竜宮」。実は、幅1.5mほどの穴が地下にあり、別の池塘に伏流水として流れていっているのだとか。昔の人は、この穴が竜宮城につながっていると考え、「竜宮」と名付けたそうです。雪解けの時期、「竜宮」では、流れ込んできた水が渦を巻く様子を眺めることができます。

標高1,660mに位置する尾瀬沼は、燧ケ岳(ひうちがだけ)の噴火によりできた周囲約9kmの沼です。燧ケ岳は標高2,356m。東北以北で最も高い山です。尾瀬沼の東岸にある大江湿原では、夏(7月中旬~下旬)になるとニッコウキスゲの群生が満開になります。秋には、草紅葉も楽しむことができます。

貴重な生物の宝庫・尾瀬で出会える動植物

自然保護運動により大規模な開発が行われなかった尾瀬には、貴重な高山植物や様々な生き物が今も残されています。

植物では、ミズバショウやニッコウキスゲ以外に、春のザゼンソウ、リュウキンカ、夏のワタスゲ、ヒツジグサ、秋のエゾリンドウ、イワショウブなど、その数は900種類以上を超えます。オゼソウ、オゼコウホネ、オゼミズギクなど、名前に「オゼ」が入った植物も多く見ることができます。

一方、動物で生息するのは、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、イタチの仲間であるホンドオコジョなど。尾瀬沼周辺ではカケス、アカゲラ、尾瀬ヶ原ではキビタキ、コルリ、 カッコウなどの鳥類も見かけることができます。

また、貴重なトンボの生息地としても知られ、ハッチョウトンボやオゼイトトンボ、カオジロトンボなど、17種類ものトンボが生息しています。

尾瀬ならではのグルメも。おすすめ休憩所・宿泊施設

大自然が広がる尾瀬ですが、ハイキングコース上に休憩所や山小屋があるため、意外と食事には困りません。しかし、山は急激な天候の変化もありますので、行動食を携帯することをおすすめします。また、ツキノワグマが餌を求めて出てくる可能性もあるので、食べ残したものやゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。

では、ハイキングの途中に立ち寄りたい休憩所を2ヶ所ご紹介します。最初にご紹介するのは、山小屋「弥四郎小屋」の1階にある喫茶室「COFFEE SPOT」です。手作りのパンと湧き水で入れたブレンドコーヒーが名物のカフェで、歩き疲れた身体を休めてみてはいかがでしょうか。

もう1ヶ所は、尾瀬の自然を守った立役者・平野長蔵がオープンした山小屋「長蔵小屋」です。本館向かいに建つ別館1階の喫茶店では、グランドピアノが置かれた雰囲気の良い店内で、ミックスピザやミルクレープなどをいただくことができます。

この2ヶ所はどちらも宿泊が可能ですが、尾瀬の山小屋は完全予約制なので、旅行の予定が決まったら、早めに予約してみてください。ちなみに、尾瀬の山小屋では、環境保護のため、シャンプー、石けん、歯磨き粉は使うことができません。

尾瀬には、名物の花豆ソフトクリームを販売しているお店も何ヶ所かあるので、ぜひ、食べ比べしてみてくださいね。

弥四郎小屋

住所 福島県南会津郡檜枝岐村字燧ケ岳
電話 090-8316-2864
URL http://www.84658.jp/index.html

長蔵小屋

住所 福島県南会津郡桧枝岐村尾瀬沼畔1
電話 0278-58-7100
URL http://chozogoya.com/

何度もリピートしたくなる。それが尾瀬の魅力

尾瀬には、初心者向きから上級者向きまで、様々なハイキングコースがあり、一度行っただけでは、なかなかその全貌をつかむことができません。また、季節ごとにさまざまな表情を見せてくれますので、その折々にまったく違う楽しみが待っている場所でもあります。

その風景に魅せられ、何度もリピートしたくなる。尾瀬に魅せられた人々の多くからは、そんな言葉がよく聞かれます。ぜひ、個性あるそれぞれのコースを季節ごとに訪ね、あなたにぴったりの風景を発見してください。

「尾瀬で過ごす時間を有効に活用したい」「朝の尾瀬を楽しみたい」という方へは、ハイキングシーズン中に運行している夜行列車「尾瀬夜行2355」のご利用がオススメ。浅草発が23:35なのでお仕事後に出発でき、朝から尾瀬ハイキングを楽しめます。リクライニング可能なリバティ車両なので移動中もラクラクです!

尾瀬国立公園

URL https://www.env.go.jp/park/oze/

※2019年9月現在の情報です