群馬県だけじゃない。会津のソースカツ丼も、はい!有名です。
お店ごとに個性のある味がお出迎え
福井県や群馬県、長野県など、全国には玉子でとじていない“ソースカツ丼”が名物となっている地域が多く存在しますが、福島県の会津地方もそんな土地の一つです。会津ソースカツ丼は、カツを揚げたあとに甘辛いソースに浸し、千切りキャベツを敷いた白いご飯の上に載せるのが一般的なスタイル。会津若松市内を中心に多くの飲食店で提供され、お店ごとに味のこだわりや個性が違うこともあり、今では人気のご当地グルメとして定着しています。今回はそのなかから人気の3軒をご紹介します。
【会津若松駅】とんかつ専門店ならではの素材と味「とんかつ番番」

会津若松市街地の東部、会津の城下町を一望に見渡すことのできる飯盛山にもほど近い場所にあるのが「とんかつ番番」です。厨房が見渡せるカウンター席からテーブル席、小上がりをはじめ、2階にはお座敷もあるなど、広い店内は和風でまとめられ、落ち着いた雰囲気です。
お店のオススメは、厳選した豚のロース肉から特に上質でやわらかい部分のみ250gを使った「特上ソースカツ丼」です。カツはもともとお店の人気メニューだった「厚切上ロースとんかつ定食」と同じ肉を使ったもので、「このカツでソースカツ丼が食べたい」というお客様のリクエストに応えてメニュー化したとのこと。ソースは先代から引き継いだレシピをこのメニューのために改良、「毎日食べても飽きない」味を目指し、カツの厚さに合うよう甘さの調整や温度管理まで考えて試行錯誤を重ね、3年かけて完成したそうです。
とんかつ専門店だけあってカツは厚みがあってもやわらかく、脂身の甘みも感じられます。ソースは酸味と甘さのバランスが抜群。お米は生産者から直接仕入れた会津産、キャベツは季節に応じてベストなものをチョイスするなど、すべての素材にこだわっています。
【会津若松駅】創業以来の継ぎ足しソースが決め手! ソースカツ丼専門店「名物カツ丼の店 白孔雀食堂」

「名物カツ丼の店 白孔雀食堂」は、1947年創業の老舗でおよそ80年の歴史を持ち、メニューがソースカツ丼のみというお店です。会津若松市の繁華街である七日町界隈から東へ少し行ったところに位置する店舗は、昔ながらの食堂らしい佇まい。テーブル3卓と小上がりのみという小ぢんまりした店内には、壁に有名人のサイン色紙がびっしりと貼られ、歴史と人気の高さを感じさせます。
こちらの「名物カツ丼」は、器からはみ出すほど大きなカツが特徴です。したたり落ちそうなほどたっぷりとソースに浸されたカツはかなりのボリュームですが、上質の豚ロース肉から丁寧に脂身をカットしているため、意外とあっさりしています。甘めで味の濃いソースは、創業当時から継ぎ足して使っている秘伝の味。下に敷かれたキャベツとごはんとの相性も良く、見た目のボリュームに反して、意外とペロリと食べられます。
「カツはカットした脂身で作ったラードで揚げているので、衣に肉のうま味がしみ込んでいるんですよ」と三代目店主の内藤信昭さん。ソースの隠し味には会津の日本酒、お米も会津産を使うなど、地元の食材も利用。まさに会津の食がまるごと詰まった丼となっています。

【会津高原尾瀬口駅】地元の常連から観光客にまで愛される味「かねまる食堂」

会津の秘境と呼ばれる檜枝岐村や尾瀬への玄関口となるのが南会津町。南部ののどかな山間を東西に貫く国道352号線沿いでも比較的大きな集落が舘岩地区で、その中心部近くに「かねまる食堂」はあります。店内にあるのは小ぢんまりとしたテーブル席が3つ、その奥には広いお座敷スペース。創業は1962年(昭和37)で、昔ながらの素朴な食堂といった趣を残しており、落ち着いて食事を楽しめる雰囲気です。
メニューはラーメンやカレー、定食類など多彩に取り揃えていますが、やはり人気があるのは「ソースカツ丼」。選び抜いた豚のロース肉を丁寧にたたいて処理をしたカツは、スッと噛み切れるやわらかさ。ソースは自家製のオリジナルブレンドで、最初に酸味が立ち、あとからふわりと甘さを感じる仕上がりとなっており、上に振りかけられた擦りごまが風味を引き立てます。
二代目となるご主人はかつて福島県内のホテルでシェフを務めた経験もあるとのことで、ソースが少し洋風に感じるのも納得。お米は会津産のひとめぼれを使用、さらりとした食感が丼に最適なのだそう。地元の常連さんから釣り人、登山や温泉目的の観光客など、あらゆる人が立ち寄るこちらは、周囲に飲食店がほとんどないこの地域にとって、オアシスのような存在となっています。

※2025年3月時点の情報です。