タイムスリップ体験! 茅葺き屋根の里「大内宿」をめぐる
歴史情緒あふれる会津の宿場町
江戸時代の面影を色濃く残す茅葺き屋根の民家が立ち並び、まるでタイムスリップしたかのような景色が広がる「大内宿」。かつての日本の宿場町の景観を見ることのできる貴重な場所として、年間約100万人が訪れる会津を代表する観光スポットの一つです。今回は、この歴史ある大内宿を訪れて、情緒あふれる町並み、ここでしか体験できない魅力など、大内宿の見どころをたっぷりご紹介します。
「大内宿」とは?

大内宿は、江戸時代初期に会津若松と日光を結ぶ下野街道(または会津西街道)の宿場町として整備された集落です。明治時代以降の交通網整備が進むなか、山間僻地にあった大内宿は開発の影響を受けない集落になりました。その後、1981年(昭和56)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されると観光地として発展し、現在は年間約100万人が訪れる会津の人気のスポットに。現在も大内宿には住民が住み続け、伝統的な文化や風習が受け継がれています。
特急「リバティ会津」を使えば旅はより便利で快適に
「浅草駅」から特急「リバティ会津」に乗り、終着駅の会津鉄道「会津田島駅」で乗り継ぎ、会津鉄道「湯野上温泉駅」へ。駅からは「乗り合いバス猿游号」、もしくはタクシーに乗れば大内宿までは約10分で到着します。「特急リバティ会津」は各座席にコンセントがあり、無料Wi-Fi環境も整備されています。長時間の移動でも快適に過ごすことができます。
山間に広がる茅葺き屋根の町並み
現在、大内宿の保存地区内にある46軒の建物のうち、約30軒が茅葺き屋根の民家。各家は飲食店や土産物屋として営業しています。毎年3軒ずつ行う茅葺き屋根の葺き替え工事は、集落に根付く「結」という相互扶助の精神で住民が協力して行います。葺き替え時期(5月、6月、9月頃)に訪れると、街道から葺き替え作業が見えることも。なお、大内宿が江戸時代の面影を残し続けることができる理由は、住民の「守り、次世代へつなぎたい」という想いにあります。掲げている「売らない」「貸さない」「壊さない」という住民憲章を守り続け、大切な遺産を未来へつなげているのです。
大内宿を見守り続ける鎮守「高倉神社」
高倉神社の御祭神は後白河天皇の第二皇子、高倉宮以仁王(もちひとおう)。源頼政とともに平家討伐に立ち上がり、宇治川の戦いで命を落としたとされていますが、会津地方には東国へ逃げ延び、大内にも滞在したという伝説があります。また、「大内」の名前は、高倉以仁王が京の都「大内裏」にちなんで「オオチ」と名付けたといわれています。 毎年7月2日になると高倉神社の御神体が御神輿に乗り、集落内を渡御する「半夏祭り」が行われます。大内宿には高倉神社のほかにも、観音菩薩を祀る「子安観音」や高倉宮以仁王御内室のお供をしてきた「桜木姫の墓」など、大内宿に根付く歴史や伝承の証を見ることができます。
かつての大内宿の暮らしを体感「大内宿町並み展示館」
大内宿を巡る際には必ず訪れたいのが「大内宿町並み展示館」です。江戸時代初期に建てられた大名の宿舎である本陣を復元した茅葺き屋根の建物内では、当時の風習を伝える写真や生活用具、約1,300点を展示。茅葺き屋根の構造を説明したパネルや葺き替え工事の解説動画などもあり、茅葺き屋根の建物について学ぶことができます。
また、足に伝わる木の床の冷たさ、体を芯から温める囲炉裏、燃える薪から立ち昇る煙の臭いなど、訪れれば大内宿での暮らしを五感で感じる貴重な体験ができます。
見所満載の最寄り駅「湯野上温泉駅」も要チェック!
大内宿の行き帰りには、珍しい茅葺き屋根の駅でほっと一息
足湯にカフェも! 旅の玄関口「湯野上温泉駅」
大内宿の最寄り駅である会津鉄道「湯野上温泉駅」は全国でも珍しい茅葺屋根の駅舎が印象的な駅。旧国鉄の「湯野上駅」として開業し、1987年(昭和62)に運営元が会津鉄道になると大内宿の町並みに合わせ、茅葺き屋根の木造駅舎に改築されました。囲炉裏のある昔ながらの駅舎には名産品を揃えた売店、軽食などを提供するカフェもあります。
また、駅舎の隣には湯野上温泉の源泉を引いた足湯「親子地蔵尊の湯」があり、大内宿を訪れた観光客が電車の待ち時間に旅の疲れを癒す姿も。旅人を温かく迎え入れ、そして送り出してくれる、心安らぐ憩いの場所です。
大内宿ならではの体験を堪能しよう
大内宿では四季折々の風景に加え、お祭りなどの催しも楽しめます。たとえば、「雪まつり」では観光客が参加できるイベントや、冬季限定の打ち上げ花火が行われ、訪れる人々を盛り上げてくれます。また、ネギ一本を箸代わりに食べる名物の「ネギそば」や郷土料理「しんごろう」「栃もち」など、地元ならではのグルメも見逃せません。ぜひ歴史風情感じる町並みを眺めながら、この場所ならではの体験を堪能してみてください。
※猿游号の利用は、バスフリー乗車券の代金(大人1,100円、小児500円)がかかります。
※2025年3月時点の情報です。